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ピアノ学習書紹介

それで彼女バッハのインヴェンション弾いたの。それがね、なんていうか面白い演奏なのよ。面白いというか不思議というか、まず普通じゃないのよね。
「ノルウェーの森」/村上春樹

今までに読んだピアノ学習に関するいろいろな本についての個人的感想をまとめてみました。あきらかに子供を対象にした本は除いてあります。 しかしこんなにあるとは思いませんでした。 出版社では春秋社が目立つけれど、これからもがんばってください。

書名/著者(出版社) 感想
ミドルエージのためのピアノレッスン
伊能美智子(春秋社)

読者に伝えたいポイントが明確であって、伝えるために工夫しているので大変面白いし、わかりやすい。教師としてもすごく有能な人なのだろう。ミドルエージの特性(頭と身体の動きが一致しない、理解力があるが理屈っぽいなど)、練習メニュー(速成コースと充実コース)、陥りやすいトラブルカルテ(本格志向型好奇心旺盛症候群というのもあります)などがあり大変面白い。
キーワード :「練習自体を楽しみとして」、「気楽にマイペース」
ショパンが弾けた!?
伊能美智子(春秋社)
前掲書より以前の著作で、ショパンを弾くことを目標にしたときにどのようなアプローチが効率的かということを書いています。練習曲とのつきあい方、ショパンへの近道、ショパンへの関門など。誰でも弾けるショパンの曲 というのもあり。
キーワード :「ピアノの手」、「チェルニー先生さようなら」
大人のピアノ 長続きのコツ
大村典子・大崎妙子

「大人のピアノ」ブーム(ほんとうかなあ)のけん引者のふたりの対談をまとめたものです。実践に基づいているので説得力があります。入門編、実践編、継続編という構成。音楽理論・作曲のススメ、大人を教えるための「7大禁止,禁句集」という項目もあります。
キーワード :「あせらず、楽しく、リラックス」
生涯学習 ピアノのすすめ
遠藤三郎(春秋社)
生涯学習としてピアノをとらえた時のアプローチを示しています。ピアノへのアプローチ、レッスンのメニュー、現場からの生のレポート、指導法 などという構成で、学習者だけでなく先生も対象にして書かれています。いくつかの実例が載せられていて参考になります
キーワード :「生きがいとしてのピアノ」
ようこそ音楽へ 生涯学習と音楽実践のひけつ
海野雅路(春秋社)
アプローチの仕方は、前述の本とほぼ同様で、ビタミンMのパワー、楽しく習うヒント、のびやか音楽表現法、教え方の姿勢、昨今音大受験事情 などから構成されていて、読者の対象の範囲はアマチュアからプロ志望者までとかなり広くなっています。教師選び6か条というのもあり。
キーワード :「音楽脳(右脳)」
大人だってピアニストに!!
中高年齢者のピアノ学習
藤田誠治
学習者の立場から書かれた本はこれだけなので貴重。プロフィールによると出版当時48才、会社勤務でピアノは高2から始め、ピアノのほかにもヨーガ、マラソンなど多彩な活動をしている方です。音楽史概観、中高年令者の能力・ピアノ学習の意義、読譜 などから構成されています。データに基づく中高年令者の能力などの分析とアンケート集計が参考になりました。
キーワード :「ピアノ学習は万事に通ず」
大ピアニストがあなたに伝えたいこと100のレッスン
千歳八郎(春秋社)
モーツァルト、ショパンなどからポリーニなどの現役ピアニストまで100人の言葉を集めてコメントを加えたものです。各人各様なのでまとまりに欠けるけど傑出した人たちの意見はそれぞれ個性的でおもしろい。
キーワード :とにかく「練習しなさい」
ピアノの悩みを解決する本vol.1テクニック向上編
春畑セロリ(ヤマハ)

月刊「Piano」の相談コーナーを編集したもので、指の悩み、テクニックマスター法、練習方法、などについての100のQ&Aが載せられています(中学・高校生の質問が大半)。質問がきわめて具体的なので参考になります。 独学するためのヒントの項目が面白い。
キーワード :「力を抜いて楽しくやろうよ」
ピアノ奏法 音楽を表現する喜び
井上直幸(春秋社)

評判になった本でビデオも発売されています。良い演奏とは、練習方法、テクニック、ペダルなどから構成されています。音大志望者以上のレベルを念頭に書かれているようで対話形式の編集となっているので内容の割に読みやすくなっています。
キーワード :「音楽的な表現」、「聴くこと」
心で弾くピアノ 音楽による自己発見
セイモア・バーンスタイン

著者はアメリカのピアニスト・作曲家・教師とのことで、練習の意味、修練、公開練習の成果の3部構成となっている労作(分厚い)。練習の意味についての実存的な問いかけから始まり、具体的なテクニック、あがり対策、演奏会当日に何を食べたらよいかまで書いてあり、心理学の本を読んでいるような気になります。
キーワード :「練習による自己実現」
ピアノの練習室
小林仁(春秋社)
タッチ・運指法、テンポ、ペダル、初見演奏などの構成からなり、主として基本テクニック習得の解説をしています。ピアノ上達の秘訣として@楽譜の正確な読み A正しいテンポ Bいい音で、よく響かせるよう心がける の3つに要約しています。
キーワード :「小宇宙としてのピアノ音楽」
ピアニストの基礎 ピアノの詩人になるために
田村安左子

副題に示されているように美しいタッチを得るにはどうしたらよいかということに主眼をおいて書かれた本です。美しい音へのすわり方、透明な音を出すヒント、ダイナミックな演奏のために などの構成となっています。腕をやわらかくする体操、手首の具体的な練習方法も述べられています。
キーワード :「柔軟さ」
大人のピアノ ピアノなんかコワくない!
ムジカノーヴァ別冊
ピアノを弾いてみたい、ピアノを楽しもう、役に立つ知識いろいろ という3部構成。ピアノに関してなら広く浅くなんでもありという感じです。
キーワード :「あなたもどうぞ」
いまピアノ教室が変わる 大人の生徒がやって来た!
ムジカノーヴァ別冊
(音楽の友社)
これからのピアノ教室経営法No.3というレスナー向けの本で、大人の生徒募集法、長期・中期・即時ビジョン、長続きさせる10の知恵 などから構成されています。先生を対象にしたアンケート結果の分析とか、生徒獲得のノウハウが書かれていて面白い。
キーワード :「シルバーがねらいめ」、「細く、長く」
定年からが面白い 充実の趣味人生実践記
小林淳宏(PHP文庫)
小林さんは56才でエレクトーンに挑戦し、ヤマハ音楽教室のグレード12級を振り出しに6年後にアマ最高ランクの6級に合格しました。同時期に囲碁初段にも挑戦しており、目標達成までの経過を記しています。旧制高校時代にバイエルを習った経験があるにしても大変な努力をしているのが伝わってくるのと同時に勇気付けられます。
ぶってよマゼット 47歳の音大生日記
池田理代子(中央公論新社)

ベルバラの作者が40代後半に音大受験を決意し、東京音楽大学声楽科に合格し、卒業するまでの軌跡を記したものです。受験のために30年ぶりにピアノを練習し、実技ではベートーヴェンのソナタ(NO.5)を弾いています。好きなことをするのには努力をいとわないという前向きの姿勢が大切であることが理解できます。

■参考Web
ピアノ関連書籍
 

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