演奏者 |
(演奏時間)/感想 |
遠山慶子
前奏曲集 第1巻'89
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(2:06)このアルバムは、ドビュッシーの時代にフランスでひろく使われたプレイエルのピアノにより録音されています。スタインウェイの華々しい音に比べると、落ち着いたバランスのよい響きのような気がします。勿論、演奏によるところが大きいのだろうけど。遠山さんはハスキルと共に、コルトーの愛弟子だった人であり、そういったこともあると思うけど、曲集を通じて、旋律を大切にした演奏をしていると思います。一緒に収録されている「6つの古代碑銘」のソロによる演奏は珍しいので貴重。
慶子さんは、評論家の遠山一行さん(吉田秀和さんと並び尊敬している人です)の奥さんでもあります。
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ティオリエ
ドビュッシー・ピアノ作品
全集 第4集'96
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(2:11)ティオリエは、ラフマニノフ、ガーシュイン、ラベルそしてこのドビュッシーの全曲録音をしているピアニストで、あまり日本では知られていないけど、このアルバムに関する限り、流麗でバランスの良いすぐれた演奏をしていると思います。1000円で買えるNAXOSレーベルであり、お買い得。「亜麻色の髪の乙女」の演奏もすっきりとしていて、とてもいい。
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ミシェル・ベロフ
前奏曲集 第1巻・第2 '70
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(2:14)ベロフが20歳のときの録音で、当時センセーショナルとなった定評のあるアルバム。個人的にも愛聴していて、自分にとって、この曲集のスタンダードとして位置づけられるものです。ベロフは小さい時からメシアンの音楽に傾倒し、最初はメシアンの演奏で認められたという経歴を持ち、このドビュッシーも現代的な感覚の切れのよい、冴えた演奏であり、それが当時は、とても新鮮であったわけです。ベロフは、'94年に、この曲集を再録音していて20数年を隔てた演奏がどのようなものか興味があるけど、ちょっと不安もあり未だ未聴です。
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ギーゼキング
前奏曲集 第1巻'53
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(2:20)ギーゼキング58歳の時の録音。この曲集の演奏では定評のあるアルバムで、確かにモノラルの古い録音であることを感じさせない名演です。この演奏のテンションの高さに比較できるのは、ツィマーマンのアルバムくらいなものだと思うし、透徹したピアニズムは、極めて現代的と言えます。
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柴野さつき
アルバム・リーフ'96
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(2:42)柴野さんは、サティ作品の演奏活動で有名なピアニストでサティの楽譜も出版しています(持ってます)。このアルバムはチェコ製のペトロフピアノで録音されたもので、その丸みを持った独特な響きは、とても新鮮です。『亜麻色の髪の乙女』の演奏も、その音の特質を生かした親密なもの。もう1曲のドビュッシー作品は、『ルーブルの思い出』という曲で、これは『サラバンド』の初稿版ということで、貴重な録音だと思います。他には、サティ、プーランク、スクリャービンなど柴野さんの得意なレパートリーが収められています。
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モニク・アース
ドビュッシー ピアノ名曲集
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(2:50)モニク・アースは、1906年生まれのフランスのピアニストで、ドビュッシー、ラヴェルのスペシャリストとして活躍したとの事。この名曲集では、前奏曲集第1巻からは、他に『沈める寺』が収録されています。とても暖かい感じのする『亜麻色の髪の乙女』です。
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ミケランジェリ
前奏曲集 第1巻 映像第1集・2集'78
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(2:55)名演の誉れが高いアルバムです。驚かされるのは、音のカラフルなことで、オーケストラを聴いているような気がするほどで、すごいピアニストであることがよくわかります。完璧主義で有名な人ですが、個人的にはこの曲集の演奏については、ちょっと恣意的に過ぎるのではという気がしています。『亜麻色の髪の乙女』などにその傾向があるみたいで、現時点では、僕の好みの演奏ではありません。
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ツィマーマン
前奏曲集 第1巻・第2 '91
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(3:09)ツィマーマンは'75年のショパン・コンクールの優勝者。ここでの彼の演奏は、極めてテンションの高い素晴らしいものです。僕にとってのドビュッシーのピアノ音楽の美しさというのは、透明感とシャープさにあると感じていて、この点で、卓越したテクニックに裏打ちされたこの演奏は理想的なもののように思えます。『亜麻色の髪の乙女』における透明な抒情の表出も見事で、ぜひお手本にしたい。
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