演奏者 |
(演奏時間)/感想 |
グールド
三大ソナタ集'67
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(4:18)これは速い。「月光」という名称から喚起されるイメージを拒否することを第一義に意図した演奏だと思います。結果として、すっきりとした見通しのいい演奏となっていて、既成の感傷過多の「月光」に飽いた耳には新鮮に響きます。 |
フランソワ
三大ソナタ集
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(5:03)サンソン・フランソワ(1924-1970)は芸術家肌の天才と言われた人ですが、ここでの演奏は詩的情緒に満ちたすばらしいものです。こんな風に弾けたらいいのだけど。
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ピリス
四大ソナタ集'67 |
(5:28)この人らしい清新な詩情を感じさせる演奏で、フランソワ、ケンプの演奏とともに、とても気に入っています。このあと新たな録音もしているようなので、そちらもぜひ聴いてみたい。 |
バックハウス
四大ソナタ'58
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(5:38)
中でもベートーヴェンの32曲のピアノ・ソナタを音楽史上もっとも重要なピアノ音楽とみなしていた。そしてヴィルヘルム・バックハウスがデッカに遺した録音はその基準となるべき解釈であり、並ぶもののない見事な演奏であると信じていた。おまけになんと楽しくて、生きる喜びに満ちていることだろう!
「スプートニクの恋人」/村上春樹
デッカに遺したこの「月光」第一楽章の録音に関する限り、安易な感傷に陥らず客観的に曲に相対する姿勢を保っているようです。
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ケンプ
四大ソナタ集'65
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(6:01)クラシック入門時の中学生の頃からずっと聴いてきたこともあって、とても思い入れがあります。後年、他のピアニストたちによる演奏を聴いても、ケンプの知的で温かい人柄を反映したこの演奏に対する共感は、いささかも変わっていません。 |
ホロヴィッツ
三大ソナタ集'56
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(6:01)青白い月の光に照らされ森閑とした夜の情景がイメージされる演奏です。ケンプの演奏のような温もりを感じることはできませんが、ホロヴィッツの研ぎ澄まされた感性はすばらしいと思います。
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ゲルバー
三大ソナタ集'87
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(6:35)ゲルバーはアルゲリッチと同じアルゼンチンのブエノスアイレス出身で、しかも同年(1941年)生まれ。第一楽章は深く内面に沈潜した繊細な演奏で、後続楽章のダイナミックな演奏との対比が見事。
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アラウ
ソナタ集'62
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(6:46)アラウ(1903-1991)60歳頃の録音。巨匠らしい味わい深い演奏で、聴いていると心が落ち着きます。 |
バレンボイム
三大ソナタ'66
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(7:05)バレンボイムもブエノスアイレス出身でゲルバー、アルゲリッチと同世代(1942年生まれ)。近年は指揮中心の演奏活動を行い、こちらの方面でも巨匠の域に達しているようです。ここでの演奏は旧録音ですが、バランス感にすぐれ、情感のこもった演奏です。 |