HOME l PROFILE l 海外作家 | 国内作家 l ジャズ l ピアノ音楽 l ポップス他 l 現代音楽 l 美術館 l 映画 l 散歩 l 雑記 l TWITTER
|
||||
なるべく音の大きそうなジャズ喫茶に入ってオーネット・コールマンだのバド・パウエルだののレコードを聴きながら熱くて濃くてまずいコーヒーを飲み、買ったばかりの本を読んだ。 「ノルウェイの森」/ 村上春樹 |
||||
|
1.The Scene Changes/ザ・シーン・チェンジズ(1958) | |||
Bud Powell(p), Paul Chambers(b), Art Taylor(ds) 冒頭の『クレオパトラの夢』は、僕がジャズを聴き始めた時に、最初に魅了された曲で、ラジオのジャズ番組を録音したテープ(当時はオープン・リール)を繰り返し聴いたものでした。ということで、個人的には、すごく思い入れのあるアルバムです。しかし、この曲だけのアルバムかというとそんなことはなくて、全曲パウエルのオリジナルですが、日本人好みのマイナー調で、かつメロディアスな曲が多く、パウエルのアルバムの中では一番人気のある盤ではないかと思います。パリに行く少し前の録音で、既に絶頂期は過ぎているけど、くつろいで聴くのにはこのあたりが適当なのではないかな。アルバム・ジャケットの後に写っている男の子は彼の息子らしい。 |
|||
|
|||
2.Jazz Giant/ジャズ・ジャイアント(1949, 1950) | |||
Bud Powell(p), Ray Brown/ Curly Russell(b),
Max Roach(ds) 天才パウエルの真価を記録した何枚かのアルバムの中では、いちばん好きなものです。"天才と****は紙一重"という言葉があって、パウエルは、まさに両者の間を行ったり来たりしていたわけで、この時期のパウエルの演奏には、そんな彼の意識の深淵を垣間見るような鬼気迫るものがあって、聴き手にも緊張感を強いるところがあるけど、そんな中では、ここに収められた演奏は比較的親しみやすいのではと思います。こういう演奏を聴くと、俗にパウエル派と呼ばれる多くのピアニストのアルバムは、オブラートに包んだようなものだという感じがしてきます(どちらがいい悪いという次元の話ではないんですが)。冒頭の『Tempus Fugue-it』や『Sweet Georgia Brown』もすごい迫力だけど、僕は情感に満ちた『I'll Keep Loving You』や『Yesterdays』などのバラード演奏のほうが好きだ。 パウエル絶頂期の演奏を記録したアルバムとしては、他に以下があります。
|
|||
|
|||
3.Jazz at Massey Hall/ジャズ・アット・マッセイ・ホール(1953) | |||
Dizzy Gillespie(tp), Charlie Parker(as),
Bud Powell(p), Charlie Mingus(b), Max Roach(ds) このアルバムもジャズに関心を持ち始めた頃に、何曲かをラジオ番組から録音して繰り返し聴いたので、愛着があります。もっとも当時はピアノにはあまり関心がなかったので、パウエルの印象は薄かったけど。チャーリー・パーカー(as)、ディジー・ガレスピー(tp)、チャーリー・ミンガス(b)、マックス・ローチ(ds)にパウエル(p)という、これ以上は望めないというスター・プレイヤー達によるカナダのトロントでのライブ録音で、歴史的名盤の誉れが高いけど、必ずしも名演とはなっていないところが、ジャズに限らず音楽の微妙なところなんでしょう。パーカーにしても、パウエルにしてもあまりコンディションが良くないみたいで、好調時の生気が感じられない。とはいえライブということもあって、「Salt Peanuts」や「A Night in Tunisia」などの演奏を通じて、この時代の雰囲気に触れることが出来るのは貴重だと思います。 |
|||
|
|||
4.Bud Powell in Paris/バド・パウエル・イン・パリ(1963) | |||
Bud Powell(p), Gilbert Rovere(b), Kansas
Fields(ds) 1959年から1964年までのパウエル晩年のパリ滞在時代の代表作。ここでの演奏を聴いていると、やはり聴く人に感動を与えるのは、テクニックや迫力だけではない"何か"なんだなという実感を持たざるを得ません。この"何か"というのは"人生経験による滋味とか風格"みたいな分析不可能なものかも知れない。冒頭のスタンダード曲『How High the Moon』から好調ですが、聴きものは『懐かしのストックホルム/ Dear Old Stockholm』でしょう。原曲は古いスウェーデン民謡らしいけど、哀愁を帯びた曲調がパウエルの心境を象徴しているようで切ない。続くバラード『Body and Soul』も名演だと思います。 |
|||
|
|||
■参考Webサイト | |||
|
|||
(映画)ラウンド・ミッドナイト/ 'Round Midnight(1986) | |||
(監)Bertrand Tavernier, (演)Dexter Gordon,
Herbie Hancock, Bobby Hutcherson ニューヨークからパリに来た破滅型のテナー奏者デイル(デクスター・ゴードンが演じている)を描いたこの映画の実際のモデルはバド・パウエルで、彼を保護してパリでの生活を支えたフランス人で、彼の熱烈なファンであったフランシス・ポードラスという人の書いた『異教徒の踊り』という回想録に基づいています。 デイルは、飲酒に問題があり、酒を飲ませると演奏が出来なくなる為、クラブの出演料も彼には渡さず、演奏後はホテルから出られないように、外から鍵をかけてしまう状況だった。彼のファンであるまだ若いデザイナーのフランシスはそんなデイルを見かねて、妻と別れて一緒に暮らしているまだ小さい娘のいる自分のアパートに引き取って面倒を見るようになる。映画は、このようにデイルとフランシスのジャズを媒介にした友情を描いていますが、クラブでの演奏などジャズが聴ける場面が結構あり、そちらの面でも楽しめます。この映画の音楽監督を務め、自らも出演しているハービー・ハンコックを始め、ボビー・ハッチャーソンやウェイン・ショーターなどトップ・ジャズプレイヤーがサイドとして参加し、デックスををサポートしています。このときのデクスター・ゴードンは、もう60歳を越えていて、往年の豪快なブロウは、うかがえませんが、年輪を感じさせる味のあるプレイをしています。この映画により本業も復活し、しばらく演奏活動をしますが、'90年に亡くなっています。 |
|||
HOME l PROFILE l 海外作家 | 国内作家 l ジャズ l ピアノ音楽 l ポップス他 l 現代音楽 l 美術館 l 映画 l 散歩 l 雑記 l TWITTER |