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しばらくして部屋が暖まると、僕らは昔のようにソファーに並んで座って、ナット・キング・コールのレコードをターンテーブルに載せた。ストーブの火が赤く燃えて、それがブランディー・グラスに映っていた。 「国境の南、太陽の西」/ 村上春樹 |
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1.ナット・キング・コール/NAT "KING" COLE (1917−1965) アラバマ州モンゴメリーに生まれた。音楽一家という恵まれた環境に育ったコールは、19歳で早くも兄のバンドでデッカヘ吹きこんでいる。元々はピアニストとして活躍したが(ジャズ史上、重要なピアニストでもある)、'47年に吹き込んだ「ネイチャー・ボーイ」が大ヒットとなり、50年代以降は、主に歌手として活躍した。 |
「恋こそはすべて Love is the Thing」(1956)/ナット・キング・コール ストリングス・オーケストラのバックでコールが甘い声で歌っているラブ・バラード集で、バラード・アルバムの傑作といえる1枚です。この曲の極め付きと言ってもいい「スターダスト/ Star Dust」を始め、1曲目の「恋におちた時/ When I Fall in Love」とか、「ラブ・レターズ」など名演がいっぱい詰まっていて、'50年代のスタンダード曲を聴いてみようという人には、お奨めのアルバムです。バラード集ということで、全曲ゆったりとしたテンポとなっていて、"眠れぬ夜のためのアルバム"としての効用も期待できます。彼のスィンギーなナンバーも聴きたいという場合には「After Midnight」をどうぞ。 コールへのトリビュート・アルバム(全曲ナット・コールのレパートリーを収録)として、娘さんのナタリー・コールの「アンフォゲッタブル/ Unforgettable」と、今をときめく歌手であるダイアナ・クラールの「オール・フォー・ユー/ All for You」を紹介します。 「アンフォゲッタブル Unforgettable」(1991)/ナタリー・コール 亡き父とのタイトル曲の仮想デュエットが感動的なアルバムですが、もともとこの人はR&B系の歌手で、スタンダード・ナンバーのアルバムを発表したのは、これが初めてでした。全22曲もナット・キング・コールの代表レパートリーを聴けるわけで、文句なしにお奨めの1枚です。「It's Only Paper Moon」や「ルート66」などナット・コールの代表的なスィンギーなナンバーも収録されています。歌のうまさは、父親譲りの天性のもの。彼女は、このあと一般的スタンダード曲を集めた「テイク・ア・ルック/ Take a Look」(1993)を発表しています。 「オール・フォー・ユー All for You」(1995)/ダイアナ・クラール カナダ生まれの彼女は、15歳の時から地元のレストランでピアノを弾いていたそうですが、今や若手女性歌手の中で最も人気のある人です。ナット・コールは彼女のアイドルであって、コールのトリオと同じ構成(ピアノ弾き語り+ギター+ベース)の採用、割と知られていない曲の選択など、なかなか意欲的な姿勢がみられます。ボーカルもピアノもとてもセンスが良く、単なる美人歌手ではない実力のある人だと思います。このあと'97年に同じメンバーで、ラブソングを集めて歌ったアルバム「ラブシーンズ Love Scenes」を発表し、日本でも評判となりました。 ■参考Webサイト |
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ダイナ・ショアは僕にとって、大人の女性の魅力というのを体現している人です。一言で言ってしまえば"品がある"という事なのだと思うけど、それは、デリケートさと清潔さを感じさせる声の質と、確かなジャズ・フィーリングによるところが大きいのではないかな。 「ダイナ・シングス、プレヴィン・プレイズ Dinah Sings Previn Plays(1960)」 クラシック界でも活躍しているアンドレ・プレヴィンのピアノ・トリオをバックに歌っている傑作アルバムで、個人的にも彼女のアルバムの中で一番好きなものです。冒頭のガーシュウィン作の「The Man I Love」から大人のムードに溢れています。冒頭曲を含め、スタンダードの名曲ぞろいで、「April in Paris」、「That Old Feeling」、「I've Got You Under My Skin」、「My Funny Valentine」、「I'll be Seeing You」などが収録されていて、「My Funny Valentine」についてはフランク・シナトラと並んで、最も好きなものです。スタンダード曲勉強のためにも、お奨めのアルバム。 「ブルースの花束 Bouquet of Blues(1956)」 彼女のブルース・フィーリングを知るのに恰好のアルバムです。ブルースといっても、いわゆる"黒っぽく"なくて、とても洗練されたものです(万人向けという表現もできる)。冒頭のアルバム・タイトル曲や名曲「Born to be Blue」、「Blues in the Night」などがいい。 ■参考Webサイト |
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自慢じゃないけど、彼女のアルバムは全部持っています(といっても若くして亡くなったので、6枚しかないんですが)。メジャーではないけど、ちょっとハスキー気味で可憐な声の質と、クールな唱法が魅力なんでしょうね。似た名前の"ビヴァリー・ケリー"というジャズ・ボーカル歌手がいるので要注意。 「ボーン・トゥ・ビー・ブルー Born to be Blue(1958)」 彼女の5枚目のアルバムで、ストリングスをバックにスロー・バラードを歌っていて、、タイトル曲のようにブルーな感じのナンバーが多くなっています。いずれも有名スタンダード曲で、たとえば「Born to be Blue」はダイナ・ショアの「Bauquet of Blues」とヘレン・メリルの「With Clifford Brown」に、「When Can I Go without You」はナット・コールの「Love is the Thing」にも収録されていて、比べてみるのもなかなか楽しい聴き方だと思います。 「ベイシー・アイツ The Basie-Ites(1956)」 これは第3作目のアルバムで、ジミー・ジョーンズのアレンジ、カウント・ベイシー楽団のメンバーのバッキングで歌っています。選曲は主として彼女自身で行なったとの事ですが、ほとんどの曲が30年代から50年代にかけての映画やミュージカルの挿入歌となっていて、あまり他のボーカルアルバムでは聴いたことのない曲が多くなっていますが、「The More I See You」他、なかなかいい曲が揃っているのでは、と思います。中にはトルーマン・カポーティが作詞をした「I Never Has Seen Snow」なんて曲もあります。 ■参考Webサイト |
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「ヘレン・メリル・ウィズ・ストリングス With Strings(1955)」 「With Clifford Brown」を文句なしの名盤とすると、このアルバムは佳作といったところだと思いますが、個人的には、ストリングスをバックにバラードを歌っているこのアルバムを聴くことのほうが多いようです。楽譜を手に持って、静かに出番を待っているところのように思われるジャケットもすごく雰囲気があって気に入っています。 「When I Fall in Love」とか、ビル・エヴァンスの代表的レパートリーでもある「Beautiful Love」などの名曲が収録されています。彼女の情感の表出は、特に日本人の感性に強くアピールするところがあるような気がします。 「ヘレン・メリル・ウィズ・クリフォード・ブラウン With Clifford Brown(1954)」 この傑作ボーカル・アルバムは、ヘレン・メリルとトランペットの天才クリフォード・ブラウンとアレンジのクインシー・ジョーンズの類まれなコラボレーションの成果です。なんといっても「You'd be so Nice to Come Home to」の極め付きの名演が有名ですが(この曲は住宅メーカーのCMにも使われた)、「What's New」、「Don't Explain」や「Yesterdays」も、それぞれの曲における代表的歌唱であると思います。クリフォード・ブラウンのファンにも必聴のアルバム。 ■参考Webサイト |
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