難易度:☆☆☆
バス停でウッドストック方面行きのバスを待っていた若い女性二人が、やって来ないバスにしびれを切らしてヒッチ・ハイクしようと歩き始めた。その夜、その片方の娘の死体がレストランの中庭で発見される。モース警部が部下のルイスと共に捜査に乗り出すが、一緒にいたはずのもう一人の女性は、どこかに消えてしまい名乗り出てこない。モースは、それとおぼしき女性をつきとめるが、彼女は否定する....。
遅咲きの作家コリン・デクスターの処女作で、モース警部のデビュー作です。モース警部は40代半ばで、現在独身、クロスワード・パズルを解くのが趣味ですが、彼が愛好しているクロスワード・パズルはかなりハイ・レベルのようで、幅広い教養がないと解けないみたい。彼はまたワーグナーの楽劇を愛好するワグネリアンでもあり、その辺のところを描写した個所から。
Crosswords were a passion with Morse, although since the death of the great
Ximenes he had found few composers to please his taste. On the whole he
enjoyed the Listener puzzles as much as any, and for this purpose took
the periodical each week. On the other hand he delighted in Wagnerian opera
and had the complete cycle of The Ring. He decided to do both, and to the
opening bars of the richly scored Prelude to Das Rheingold, he sat back
and turned to the penultimate page of the Listener. This was the life.
|
|
2.Last Seen Wearing/キドリントンから消えた娘(1976) |
難易度:☆☆☆
モース警部登場の第2作目。キドリントンに住む女子高生が行方不明となり、家出なのか犯罪に巻き込まれたのか分らないまま2年が経過した。担当捜査官が交通事故で死亡した翌日に、失踪した本人から両親宛てに、無事である旨の手紙が届く。事件を引き継いだモースは、手紙は偽物で、彼女は既に殺害されていると断定し、捜査を進めるが....。 モースは捜査事実と直感をもとに、彼独自の論理により事件を再構築するが、捜査の進展につれ新たに明らかになる事実により、その論理はくつがえされ、新たな論理構築を迫られる......するとまた新たな事実が発覚し....という具合に目まぐるしく変転するプロットが魅力のシリーズです。とにかく読んでしばらくすると誰が犯人だったのか頭の中が混乱するほどなのです。 本作でもモースの愛好するワーグナーの楽劇「指輪」に関する部分から。
He left the map and the diary on top of the bookshelf, made himself a cup
of instant coffee and selected from his precious Wagner shelf the Solti
recording of Die Walkure. No fat man, no thin-lipped woman, no raucous
tenor, no sweaty soprano distracted his mind as Siegmund and Sieglinde
poured forth their souls in ecstasy of recognition. The coffee remained
untouched and gradually grew cold.
|
|
3.Service Of All The Dead/死者たちの礼拝(1979) |
難易度:☆☆☆
教会の礼拝中に起きた殺人事件を発端に、題名通り死者たちの山が築かれるといった感じのストーリー展開となり、モースも彼の仮説に付き合う読者も混乱の極みとなるといった作品。 さすがイギリスらしく、モースは勤務中でも頻繁にパブに出入りしエールやらスタウトやらラガーなどのビールを飲んでいるのがとてもうらやましい(モースは特別)。また、モースはこの作品では47歳となっているけど、結構女性にもてていて、どうもその秘密は彼の魅力的な目にあるようだけど、これもまた実にうらやましいところです。前に紹介した2作では、いろいろな障害があり、残念ながらハッピー・エンドにはならなかったけど本作では、うまくいきそうな展開となっています。
Morse's eyes followed her slim ankles as she climbed the carpeted stairs
ahead of him.
'Bedroom or lounge?'
'Let's go into the lounge a few
minutes first,'
said Morse,
'There's some whisky here. Do
you want a
drink?'
'I want you.'
'And you can have me. You know
that, don't
you?'
Morse took her in his arm as
they stood
there, and kissed her tenderly
on her sweet,
full lips. Then, as if the moment
were too
unbearably blissful to be prolonged,
he pressed
her body tightly to him and laid
his cheek
afainst hers.
|
|
■関連Web・主要作品リスト |
○関連出版リスト : amazon. com.(洋書、和書)
○参考資料
・コリン・デクスター(Wikipedia)
・Colin Dexter(Wikipedia 英語)
○主要作品リスト
|
HOME l PROFILE l 海外作家 | 国内作家 l ジャズ l ピアノ音楽 l ポップス他 l 現代音楽 l 美術館 l 映画 l 散歩 l 雑記 l TWITTER |