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ミュージック・ライブ映画 BEST10

劇場公開されたミュージック・ライブ映画のマイ・ベスト作品を順次紹介します。アーティスト(グループ)毎、1本の映画に絞り、Best10として以下を選んでみました。
「イヤー・オブ・ザ・ホース」と「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」以外は、映画館で観ています。


ビートルズ、ローリング・ストーンズ、ビーチボーイズ、サイモンとガーファンクル、スティーヴィー・ワンダー ・・・・・ 1960年代に流行(はや)った音楽ばかりだ。
「海辺のカフカ」/村上春樹



(BEST 10+α)
1.ラスト・ワルツ(1978)/ザ・バンド
ロビー・ロバートソン最高!
 
2.ウッドストック(1970) /CS&N、テン・イヤーズ・アフター、スライ&ファミリーストーン、ジミヘン他
愛と平和の3日間 
 
3.レット・イット・ビー(1969)/ビートルズ
結構生でも上手く演れるんだと再認識しました。
 
4.魂の叫び(1988)/U2 <この頃のU2が最高!>
   
5. 熱のライブ(1973)/レッド・ツェッペリン
ジミー・ペイジが最高に格好よかった時 
 
6.レッツ・スペンド・ザ・ナイト・トゥゲザー(1983)/ローリング・ストーンズ
キースの崩れ具合いが感動的でした。 
 
7.イヤー・オブ・ザ・ホース(1997)/ニール・ヤング
中年ヤング(?)のパワーがすごい。
 
8.ジャニス(1974)/ジャニス・ジョップリン
伝説的ロック・シンガー、ジャニスの燃焼ステージ 
(映画)「ローズ」(1979): ジャニスをモデルにした、ベット・ミドラー主演の映画
 
9.エルビス・オン・ステージ(1970)/エルビス・プレスリー <至高のエンターテイナー!> 
 
10.真夏の夜のジャズ(1958)
アニタ・オディ姐御が最高に格好良かった。
 
11.ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ(1999)
熟年バンドの味わい深い演奏>

(おまけ)
映画「あの頃ペニー・レインと」(2000) 

ロックバンド(オールマン・ブラザーズ・バンドがモデルとのこと)のツアーの同行記事を書くことになった少年のグルーヴィーの少女への初恋を描いた青春映画。
 

1.ラスト・ワルツ/The Last Waltz(1978)

 リズムはあっても魂のないディスコ・ブームの時代が来ていた。言いたいことは山ほどあっても三つのコードしか知らないパンクの時代が来ていた。札束で顎や頬を撫で、人を腑抜けにさせるビジネス・モンスターたちの横行する時代が始まっていたんだ。でも、あの日、みんなが集まったのは金のためじゃない。愛と敬意を込めてお互いに挨拶するためさ。戦争は終っていたし、僕らの革命も終った。だからあれはひとつの時代を、ある魂を持って生きてきた世代のお別れパーティーでもあったんだ。
ロビー・ロバートソン


 カナダ出身のアメリカン・ロックバンド "ザ・バンド/The Band"の伝説的な解散コンサートを、「タクシー・ドライバー」の監督マーティン・スコセッシが撮ったロック・ライブ映画の傑作で、僕が映画館で観た回数の一番多い映画でもあります。
 この「ラスト・ワルツ」コンサートは、1976年11月25日、サンフランシスコのウィンターランドで行なわれたもので、ゲスト・ミュージシャンとしてザ・バンドの長年の盟友ボブ・ディランを始めとして、エリック・クラプトン、ニール・ヤング、ジョニ・ミッチェル、ヴァン・モリソン、ニール・ダイアモンド、マディ・ウォーターズなどザ・バンドと縁の深かったトップ・ミュージシャンが参加し、共演しています。ゲスト人もすごいけど、やはりここではロビー・ロバートソンのかっこいいギターワークを始めとするザ・バンドのメンバーの演奏シーンが一番印象的です。ロバートソンの書いた名曲「クリプル・クリーク」、「オールド・ディキシー・ダウン」を始めとする彼らの代表的ナンバーとともに、ザ・バンドらしからぬワルツ「ラスト・ワルツのテーマ」の演奏が披露されています。
 ゲスト・ミュージシャンとの共演では、まずはエリック・クラプトンとロバートソンとのギターでのエール交換が楽しい。ちなみにクラプトンは、クリーム時代からザ・バンドのサウンドに惹かれていたとの事です。ニール・ヤングは、この時コカインでよれよれだったらしいけど、彼の名曲「ヘルプレス」の演奏はとてもいいです。ゴスペル・グループ「ステイプルズ」が参加したザ・バンドの代表的名曲「ザ・ウエイト」、僕の大好きなカントリー・シンガー、エミルー・ハリスとの共演にも注目(この2曲はスタジオ収録)。
 そして、さすがカリスマ的存在感を示すボブ・ディランとの「フォー・エヴァー・ヤング」、「連れてってよ」に続いて、最後を締めくくる出演者全員による「アイ・シャル・ビー・リリースト」の大合唱により、彼らの16年間の演奏活動の終止符を打ったわけですが(注)、ただそれだけでなく、ロックのひとつの時代の終わりを確実に告げたコンサートでした。

舞台で生きることやすべてを学んだ。 もう降りるよ。
素晴らしい人たちが音楽に死んでいった。ハンク・ウィリアムズ、ジャニス、ジミー・ヘンドリックス、エルビス..... そんな人生はもう不可能だ....... 絶対に。
/ロビー・ロバートソン


(注)ザ・バンドは解散後、1983年にロバートソン抜きで再結成されました。その後、メンバーのリチャード・マニュエルとリック・ダンコは死亡。解散後のロビー・ロバートソンのソロ・アルバム紹介は、こちら
 
(参考) ザ・バンドの代表的アルバム
「Last Waltz」('78):解散コンサートの記録

Music from Big Pink ('68)

Northern Lights, Southern Cross 南十字星('75)



2.ウッドストック/Wood Stock(1970)  

『ウッドストック』は3回見た。
「夜のくもざる」/ 村上春樹

 
1969年8月15日から3日間ニューヨーク近郊で行なわれた野外ロック・コンサートには約40万人を超える観客が集まった。この映画は、"愛と平和の3日間"と呼ばれたこのビッグ・イヴェントを記録したもので、僕だって映画館で3回以上は見ています。この時はまだ "若者の力で世界を変革できるんだ"という幻想が残っていて、ロックはその共同幻想の象徴的存在だったんですね。日本では、この年東大安田講堂を占拠していた学生を、機動隊が突入して排除、東大の入試が中止されました。

個人的ウッドストック・ベストパフォーマンスは以下の通りです(順不同)。
・スライ&ファミリーストーン "Higher": すごい迫力。
・C.S.N(クロスビー・スティルス&ナッシュ)"青い眼のジュディ": アンサンブルに感動。
・ジョー・コッカー"With a little help from my friend": ビートルズのオリジナルより数段良かった。
・テン・イヤーズ ・アフター"I'm Going Home": アルヴィン・リーの独壇場でした。
・ジミ・ヘンドリックス"アメリカ国歌": ウッド・ストックの象徴的存在だった。
 
(参考アルバム)
「Deja vu」('69)/C.S.N&Y 
C.S.N&Y(クロスビー・スティルス・ナッシュ&ヤング)の名盤。ウッドストックで名演だった組曲「青い眼のジュディ」は含まれていないけど、ジョニ・ミッチェル作の主題曲「ウッドストック」を収録。その他いかにも彼ららしい曲「キャリー・オン」やニール・ヤングの名曲「ヘルプレス」が収録されています。

「Live in Woodstock」('69)/Jimi Hendrix
CD2枚に1時間半くらいの演奏がたっぷり収録されています。映画では、米国歌と"紫のけむり"しか聴けず不満でした。でもギターの擬音による戦闘機の爆音と銃撃音に乗せて弾いた"星条旗"と続く"紫のけむり"は、中でも最高の演奏。このときから彼には1年余りの生しか残されていなかった。



8.ジャニス/Janis(1974)

歌うとね、自分の中に入っていって、ひとつの宇宙になるみたい、本当に満たされた気分になるの。

 ジャニスは、1970年10月4日にわずか27歳でヘロインの過剰摂取が原因でこの世を去ります。この映画は、彼女が脚光を浴びることになった1967年6月のモンタレー・ポップ・フェスティバルから、死の年の1970年にかけての世界各地(米、スイス、スウェーデン、カナダ、イギリス、ドイツ)でのコンサート映像と、インタビューを中心に構成されていて、ジャニスの飾らない素顔とともに、代表的ナンバーである「ボール・アンド・チェーン/Ball and Chain」、「コズミック・ブルース/Kozmic Blues」、「サマータイム/Summertime」、「心のカケラ/Piece of My Heart」、「ミー・アンド・ボギー・マギー/Me and Bobby McGee」などの迫力あるライブを堪能できます。ジャニスのブルースに根ざしたシャウトするステージは、まさに one and only のものでした。

自由とは失うものが何もないこと、自由でなけりゃ、なんの意味もないわ/「Me and Bobby McGee」

(参考) ジャニス・ジョプリンの代表的アルバム
「Cheap Thrills」('68) :ビッグ・ブラザー&ホールディング・カンパニーとのライブ録音

「Pearl」('71):レコーディング中に他界、遺作となった。


(紹介予定・映画)ローズ/The Rose(米・1979)
(監)マーク・ライデル (演)ベット・ミドラー、アラン・ベイツ

 ジャニス・ジョプリンをモデルにした映画で、ベット・ミドラーの迫力あるライブ・パフォーマンスが圧巻でした。


 

11.ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ/Buena Vista Social Club(1999)

 『パリ、テキサス』、『ハメット』や『ベルリン天使の詩』のヴィム・ヴェンダース監督作品で、米のマルチ・ミュージシャンであるライ・クーダーが往年のキューバ音楽の演奏家を捜し出して結成したバンドのドキュメンタリー映画です。
 ボーカルやピアニストを始めとする主要メンバーが70歳を過ぎているという熟年バンドですが、彼らがオランダのアムステルダムやニューヨークのカ−ネギー・ホールで行なったライブ演奏とスタジオでの演奏風景が描写されていて、実に感動ものでした。ラテン系の音楽というのは敬遠していて、今まで聴いていなかったけど、特に"キューバのナットキングコール"と呼ばれている Ibrahim Ferrer(1927年生) の哀愁を感じさせる滋味深いボーカルが、とても気に入りました。彼を含む主要メンバーは、'00年の夏に来日して各地で公演しています。街並みの描写のうまさとかは、いかにもロード・ムービーに定評のあるヴェンダースらしく、映像のほうでも堪能しました。

 

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