現代音楽・映画音楽

 マイケル・ナイマン/Michael Nyman(1944−  ) 

 ロンドンで生まれる。王立音楽院で、ピアノ、ハープシコード、作曲を学び、主にバロック音楽の研究に専念し、その一方で現代音楽の世界に常に新しいファクターを提示してきた。1982年以降は、ピーター・グリーナウェイを初めとする映画監督との仕事が多く、93年のカンヌ映画祭でグランプリを獲得したジェーン・カンピオン監督の映画「The Piano(ピアノ・レッスン)」の音楽を担当した。

 



ピアノの厳しいレッスンの中で何も考えず何も考えず暮らすこと、冷たい心を持ち他人のように自分を見て暮らして行こう、過去はみんな忘れてしまおう、忘れるように努力しよう、....
「遠方のパトス」/福永武彦


初めにピアノありき、でした。ピアノの旋律がオーケストラ全体のスコアを導いてくれたのです。
「ピアノ・レッスン」サウンド・トラック ライナーノーツ/マイケル・ナイマン


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1. 映画「ピアノ・レッスン」サウンド・トラック/The Piano(1993) 

 「ピアノ・レッスン」という映画は、心にずっとあとまで残る映画でした。ジェーン・カンピオンという女流監督、口のきけない女性エイダを演じた女優ホリー・ハンターと、音楽を担当したマイケル・ナイマンの共同作業による類まれな結晶といえるのではないか。ナイマンは、ライナー・ノーツの中で、作曲にあたり、エイダの故郷であるスコットランドの音楽、とくに映画の時代背景である19世紀中ごろの音楽を念頭においたと書いています。また、口のきけないエイダは、彼女の声の代わりに、彼女が弾くピアノにより彼女の内面を表現しているのだとも書いています。
 メインテーマである「The Heart Asks Pleasure First」とサブ・メインテーマとも言うべき「Big My Secret」は本当にいい曲だと思います。ちなみに '00年のピアノ発表会用の曲として、この「Big My Secret」を取り上げました。



2. ザ・ピアノ・コンチェルト/The Piano Concerto(1994)

 ナイマンは、もともと現代音楽の作曲家として著名ですが、このCDには2曲のオーケストラ作品が収められています。ピアノコンチェルトは、映画「ピアノ・レッスン」の音楽を素材として作曲されたものです。 ピアノ・ソロをフィーチャーした協奏曲というより、ピアノを含めたオーケストラ作品といった趣があります。「Big My Secret」が使われていないのが残念。
 もう1曲の「MGV」は、TGV(フランスの超高速列車)の北ヨーロッパ路線の開通を記念して、作曲を委託されたもので、最初から最後まで、ひたすら疾走している感じの曲です。



3. ライヴ・ベスト/Michael Nyman - Live(1994)

 このアルバムは、マイケル・ナイマン・バンドのスペインでのライブをレコーディングしたもの。アルバムの中心となっているのは、約30分あまり、全9曲からなる「ピアノ・レッスン」組曲です。ここでの演奏は、弦を中心にしたサウンド・トラックにかなり近いものとなっています。
 他の曲は、ナイマン特有の執ようにたたみかけるようなサウンドで、ロックバンド並みのパワーで圧倒します。



4. アニメ映画「アンネの日記」サウンド・トラック(1995)

 このアニメは日本で製作されたものですが、残念ながら、まだ未見です。ほとんどの曲がピアノ・ソロなので、僕のようなナイマン・ファンのピアノ学習者には、実にうれしいアルバムです(全曲の楽譜がシンコー・ミュージックより出ています)。レベル的には、ブルグミュラー修了程度ではないかと思います。中で気に入っているのは、1曲目の「アムステルダムの夜明け」、「さよならモルチェ」、「キャンドルの灯」などで、いずれチャレンジしたい。  ところで、ナイマンの音楽は「ピアノ・レッスン」の前と後とでは大きく変わったと思うけど、これは、彼が映像から切り離しても自立できる音楽を目指すようになったためではないかという気がしていますが、どんなもんでしょう。



5. エニミー・ゼロ ピアノ・スケッチ/Enemy Zero "Piano Sketches"(1996)

 セガ・サターンの同名ゲームのために作曲された「愛のテーマ」、「ローラのテーマ」と「デジタルの悲しみ」の3曲が収録されているミニアルバムです。ゲーム制作は、この世界で有名な飯野さんで、かなりヒットしたゲームですが、我が家にはこのゲーム機がないのでプレイはしていません。
 「愛のテーマ」は、いかにもナイマンらしい作品で、しばらく練習していたのだけど、結構時間が、かかりそうでレッスンに間に合わなくなりそうなので、「ローラのテーマ」に変更しましたが、この曲もなかなか面白い曲で気に入っています。



 (映画)ピアノ・レッスン/The Piano(1993) 
 (監)ジェーン・カンピオン (音)マイケル・ナイマン (演)ホリー・ハンター、ハーヴェイ・カイテル、アンナ・パキン

 自分が自分らしくあることと、愛に生きること。その間で引き裂かれてしまいそうな思いに覚えのある女性なら、エイダが美しい銀の義指をつけて再生し、その聖痕が鍵盤に触れてコツコツとささやかな音をたてる時、ひとつの答えを見いだすと思う。シンプルで、きびしくて、永遠の解答を。「ほんとうの愛なら、大丈夫だよ」と。
「ボーイズ・イン・ザ・シネマ」/湯本香樹実

 舞台は19世紀の中ごろのニュージーランドで、口のきけないエイダは、娘と一緒にスコットランドからはるばる嫁いで来ます。荷物は、彼女の分身とも言うべきピアノだけ。しかし、見合い結婚である夫との関係は、うまくいかず、夫は、近くに住んでいる男ベインズにピアノを売ってしまいます。ベインズは、エイダにピアノレッスンを条件にピアノを返すという提案をし、彼の小屋でレッスンが始まる。口がきけないエイダにとって自己表現の手段としてピアノは、何にも替えがたいものであり、ベインズの理不尽な要求を呑まざるを得ませんが、次第に彼に惹かれていきます。
 ほとんど未開の地だったニュージーランドを背景に、近代人である夫と野人のごときベインズと情念の女性エイダとピアノの四角関係が興味深い映画です。ホリー・ハンターは、この映画の演技によりアカデミー主演女優賞を、また娘役のアンナ・パキンが助演女優賞を受賞しています。また、映画の中でのピアノ演奏は彼女自身によるもの。


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