HOME l  PROFILE l 海外作家国内作家 l ジャズ l ピアノ音楽 l ポップス他 l 現代音楽 l 美術館映画 l 散歩 l 雑記TWITTER
Tennessee Williams(1911 - 1983)
テネシー・ウィリアムズ
 

ミシシッピ−州コロンバスの生まれ。12才のときにセールスマンであった父親の仕事の関係で、一家はセントルイスに移った。コロンビアのミズーリ大学に入学するが、経済的事情により中途退学し、靴会社に就職し3年間そこで働きながら夜、執筆を続けた。1938年にアイオワ大学に入学し修了した。彼は1948年と1955年にピューリツァー賞を受賞している。


「ところで『熱いトタン屋根の猫』を読んだことあるかい?」
「風の歌を聴け」/村上春樹

人々はくりかえしくりかえし私の作品の内容があまりにも私的に過ぎると言いつづけてきた。それにたいして私もくりかえしくりかえし、芸術家の真実の作品はすべて私的なものであらねばならぬという主張をもって答えてきた。
「回想録」/テネシー・ウィリアムズ



1.Cat on a Hot Tin Roof/熱いトタン屋根の猫(1955)
難易度:☆☆
翻訳本

 私の書いた戯曲の中でどれがいちばん気に入っているかという質問には「いつも最近のもの」と答えるか、あるいは真実を伝えたい本能に屈して、「たぶん出版された方の『熱いトタン屋根の猫』でしょうね」と答えることにしている。 /「回想録」

 現代演劇の中での名作のひとつ。僕も彼の作品の中ではいちばん好きです。劇の中の時間は、実時間経過と同じなので、始まりから終わりまで2時間くらいしか経っていないことになりますが、これは当時としては初めての手法だったらしい。マギーとブリックは、まだ若いカップルだが、子供はいない。ブリックは、アル中で、その原因は、親友スキッパーの死と関連している。彼の父は、癌で余命幾ばくもなく、広大なプランテーションの相続をめぐり、子沢山の兄夫婦がやってくる。こうした状況下で、熱したトタン屋根の上の猫のように窮地の立場に置かれたマギーが奮闘するありさまが描かれています。  ブリックも「ライ麦畑」のホールデン少年同様、イノセンスに対して、過敏な人間のようです。ホールデン少年の場合、欺瞞の対象はもっぱら外部に向かっていたようだが、ブリックの場合には、外部にだけではなく、自分もその対象となっていて、そのためアルコールに逃れるしかない状況となっています。 マギーとブリックの会話から。

MARGARET : Well, no wonder, no wonder. Y'know what I feel like, Brick? I feel all the time like a cat on a hot tin roof!
BRICK : Then jump off the roof, jump off it, cats can jump off roofs and land on their four feet uninjured!
MARGARET : Oh, yes!
BRICK : Do it! ― fo' God's sake, do it ....
MARGARET : Do what?
BRICK : Take a lover!
MARGARET : I can't see a man but you! Even with my eyes closed, I just see you! Why don't you get ugly, Brick, why don't you please get fat or ugly or something so I could stand it?

(映画)熱いトタン屋根の猫(米・'59年)
(監)リチャード・ブルックス (演)ポール・ニューマン、エリザベス・テイラー

 映画では、ブリックが酒びたりとなったいちばんの原因をマギーと親友スキッパーの不倫への疑いの為という風にしているようで、全体が父と息子、夫と妻の和解劇といった感じとなり、いかにもハリウッド的な万人に受け入れられる擬似ハッピーエンドとなっています。従って、あの露悪的な『回想録』を書いた作者の毒みたいなものが希薄となっている点は、否めないところです。ポール・ニューマンのブリックは適役、エリザベス・テイラーのマギーは個人的には、いまいちという感じがするけど、まあこんなところかもしれませんね。昔観た加賀まりこのマギー、近藤正臣のブリックでの舞台が印象に残っています。加賀さんのマギー猫は、はまり役だと思いました。


2.The Glass Menagerie/ガラスの動物園(1945)           
難易度:☆☆

 テネシー・ウィリアムズの出世作です。作者を思わせるトムの回想という形で進行する劇なので、なんとなくおぼろげで幻想的な雰囲気がただよう叙情的な作品となっています。トムの姉ローラは、極端な内気な性格と脚の障害のため、自分の殻に閉じこもり、ガラス細工の動物たちを相手に暮らしています。そんなローラを心配する母親の要望でトムは同僚で、高校時代にローラがあこがれていたジムを彼らのアパートに招待します。ローラがジムに彼女のガラス細工のユニコーンを見せる場面から;

JIM : Now how about you? Isn't there something you take more interest in than anything else?
LAURA : Well, I do - as I said - have my - glass collection -
JIM : I'M not right sure I know what you're talking about. What kind of glass is it?
LAURA : Little articles of it, they're ornaments mostly!
Most of them are little animals made out of glass, the glass menagerie! Here's an example of the oldest. It's nearly thirteen.
[MUSIC : 'The Glass Menagerie'. He stretches his hand. ]
Oh, be careful - if you breath, it breaks!
JIM : I'd better not take it. I'm prety clumsy with things.
LAURA : Go on, I trust you with him!  [ Places it in his palm. ]
There now - you're holding him gently! Hold him over the light, he loves the light! You see how the light shines through him?
JIM : It sure does shine!

ローラは、ウィリアムズの実の姉をモデルにしています。

(映画)ガラスの動物園(米・'87年)
(監)ポール・ニューマン (演)ジョアン・ウッドワード、カレン・アレン
   
 この作品は、1950年と1987年の2回、映画化されていて、2度目のものは、ポール・ニューマンが監督し、母親役に奥さんのジョアン・ウッドワード、ローラにカレン・アレンが扮しています。カレン・アレンがガラス細工のように繊細で傷つきやすいローラを見事に演じていると思います。


3.A Streetcar Named Desire/欲望という名の電車(1947)
難易度:☆☆

 ふるさとの町で英語教師をしていたブランチは、父母亡き後、家を失い、スキャンダルのため心身ともに疲れ果て、妹のステラと夫のスタンリーの住むニューオーリンズのアパートに逃れてきます。野性的なスタンリーとは、うまくいかずスタンリーは、ブランチの過去を暴きだそうとします。ブランチとステラの再会の場面より:

STELLA[Calling out joyfully]: Blanche!
[For a moment they stare at each other. Then Banche springs up and runs to her with a wild cry.]
BLANCHE: Stella, oh, Stella, Stella! Stella for Star!
[She begins to speak with feverish vivacity as if she feared for either of them to stop and think.
They catch each other in a spasmodic embrace.]
BLANCHE: Now, then let me look at you. But don't you look at me, Stella, no, no, not till later, not till I've bathed and rested! And turn that over-light off! Turn that off! I won't be looked at in this merciless glare! [Stella laughs and complies.] Come back here now! Oh, my baby! Stella Stella for Star! [She embraces her again.] I thought you would never come back to this horrible place! What am I saying! I did't mean to say that. I meant to be nice about it and say - Oh, what a convenient location and such- Ha-a-ha! Precious lamb! You haven't said a word to me.
Stella: You have't given me a chance to, honey! [She laughs but her glance at Blanche is a little anxious.]

(映画)欲望という名の電車(米・'51年)
(監)エリア・カザン (演)ヴィヴィアン・リー、マーロン・ブランド、キム・ハンター

 この劇の初演時の演出家であるエリア・カザンが監督した映画では、ブランチにヴィヴィアン・リー、スタンリーにマーロン・ブランドが扮しています。ヴィヴィアン・リーは、イギリスでの舞台初演、マーロン・ブランドはアメリカでの舞台初演にそれぞれ出演しています。ヴィヴィアンは、この映画を撮った時、37、8才のはずだけど、きれいです。マーロン・ブランドの存在感ある演技が印象的。

○ヴィヴィアン・リー/ Vivien Leigh(1913−1967)
1913年11月5日、インドのダージリン生まれ。6才で故国イギリスに戻り、聖心修道院寄宿学校入学。その後、ロンドンの王立演劇学校に学ぶ。1932年、弁護士のH・リー・ホールマンと結婚。1939年、『風と共に去りぬ』でアカデミー主演女優賞。翌年離婚して、ローレンス・オリビエと再婚。1951年、『欲望という名の電車』で再度アカデミー主演女優賞。1960年離婚。1967年、肺結核で死去。
 

参考Webサイト・主要作品リスト
○ 関連出版リスト : amazon. com.(洋書翻訳本
○ 参考資料
 ・テネシー・ウィリアムズ(Wikipedia)
 ・Tennessee Williams(Wikipedia 英語)
 ・テネシー・ウィリアムズ回想録
  
 ・テネシー・ウィリアムズ―暗がりの詩人 (英米文学作家論叢書〈26〉/石塚 浩司

○ 主要作品リスト
  • Battle of Angels/天使のたたかい(1940)
  • The Glass Menagerie/ガラスの動物園(1945)
  • A Streetcar Named Desire/欲望という名の電車(1947)
  • Summer and Smoke/夏と煙(1948)
  • Camino Real/カミノ・レアル(1953)
  • Cat on a Hot Tin Roof/熱いトタン屋根の猫(1955)
  • Orpheus Descending/地獄のオルフェ(1957)
  • Sweet Bird of Youth/青春の甘き小鳥(1959)
  • Period of Adjustment/調整期間(1960)
  • The Night of the Iguana/イグアナの夜(1961)
  • The Milk Train Doesn't Stop Here Anymore/牛乳列車はもう止まらない(1963)
  • The Eccentricities of a Nightingale/風変わりなナイチンゲール(1964)
  • Slapstick Tragedy/どたばた悲劇(1966)
  • The Two-Character Play/二人だけの劇(1967)
  • Kingdom of Earth(The Seven Descents of Myrtle)/地上の王国(七たび降りるマートル)(1968)
  • In the Bar of a Tokyo Hotel/東京のホテルのバーにて(オフ1972)
  • Small Craft Warnings/小舟注意報(オフ1972)
  • Out Cry/叫び(1973)

HOME l  PROFILE l 海外作家国内作家 l ジャズ l ピアノ音楽 l ポップス他 l 現代音楽 l 美術館映画 l 散歩 l 雑記TWITTER