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2019年・2020年 海外映画観賞録

Twitterに投稿した映画鑑賞記事をまとめました(公開年降順)。

国内外映画観賞録(2021年)
国内映画観賞録(2019・2020年)

(公開年降順
ザ・バンド かつて僕らは兄弟だった(2020)
中心メンバーだったロビー・ロバートソンの語りと映像を中心に、グループ誕生から「ラスト・ワルツ」までを描いている。
ウッドストックの家での共同生活などによる家族のような一体感から、どこか懐かしく温もりのあるサウンドが生まれたのだと実感できた。
ザ・バンドとボブ・ディランの強い絆を示す2度のツアーと地下室でのセッション映像に感銘を受けた。 1974年のツアーを記録したアルバム「偉大なる復活」は、ザ・バンドとディランの最高にエキサイティングな演奏を記録しています。 地下室で録音したアルバムも、リラックスした雰囲気がとてもいい。"


マーティン・エデン(2020)
大筋はジャック・ロンドンの原作に沿っているが、舞台をイタリアに移し、1950年代以降に時代設定されている。
ルカ・マリネッリ演じるマーティンの発する熱量に圧倒された。 ベネツィア映画祭で、”ジョーカー”ホアキンを抑えて主演男優賞に輝いたのも納得できます。

(原作)マーティン・イーデン(1909)/ジャック・ロンドン
荒くれ者の船乗りの青年マーティンが良家の令嬢を愛し、彼女の知性に憧れる事で文学に目覚め、独力で作家を目指す。 作中で描かれる作家修業の描写は自身の経験に基づいていると思われ、その不屈の精神力に打たれました。作者渾身の名作です。


燃ゆる女の肖像(2020)
18世紀末のフランス、望まぬ結婚を控えた女性と、彼女の肖像画を描くため海辺の屋敷に来た女性画家の燃えるような儚い愛を描いています。 昨年のカンヌ脚本賞受賞作。登場人物が女性4人だけ(皆魅力的だ)のドラマです。 女性監督らしい情感細やかな演出に魅せられました。

思い出の曲(ヴィヴァルディ「四季」から"夏")をバックの“最後の再会”は偶然でなく、二人の願いの結実だったと思う。 エロイーズは、オルフェウスのようには振り返らないことで、マリアンヌと二度と離れないという強い意志を歓喜の涙とともに表していた。


TENET テネット(2020)
クリストファー・ノーラン 監督
わけが分からないまま世界の存亡を決する闘争に引き込まれていく。
前評判通りのアクション、サスペンス、サウンドに大満足でした。さすが、やっぱりノーラン!
理解できなかった個所は解説サイトで解消できたけど、もう一度観て確認したい。


愛の不時着(2020) 韓国ドラマ
韓国の財閥令嬢と北朝鮮のエリート将校の運命的な出会いと38度線越えの禁断の恋。
全16話、たっぷり楽しませてもらいました。
北朝鮮の非武装地帯近くの村の下町風情の女性たちや、中尉の部下たちにもきっとまた会いたくなる。これってロスなのかも。

「日々の生活に散りばめられている小さな幸せを忘れないで。」


ポルトガル、夏の終わり(2019)
女優のフランキーは、ある意図をもって避暑地シントラに親族、親友を呼び寄せる。
皆がそれぞれ人生の煩(わずら)いを抱えているが解決することはない。
こういう淡々としたドラマもいいな。
フランキーの立ち居振る舞いの凛とした美しさが際立っている。

フランキーが、シューベルトのピアノ曲集「楽興の時」第2番を弾くシーンがあり、弾きながら「悲しい曲」と形容していた。
曲集では第3番がポピュラーだけど、僕は内省的なこの第2番が一番好き。
ポルトガル出身の大好きなピアニスト、ピリスの演奏で聴いています。


ドクター・スリープ(2019)
「シャイニング」の40年後を描いたキングの同名小説をベースとし、前作の小説と映画版それぞれへのオマージュがちりばめられている。キングは本作に満足していたそうだ。
前作のような形容しがたい恐怖や狂気が希薄な分、ホラー的要素が後退しているのが惜しい。

キューブリックは「2001年宇宙の旅」では、R.シュトラウスの「ツァラトゥストラはかく語りき」、ヨハン・シュトラウスの「美しく青きドナウ」や宇宙空間にモノリスが漂うシーンなどにリゲティのアカペラ曲を使い、「時計じかけのオレンジ」ではベート―ヴェン交響曲9番が重要なモチーフとなっていた。


ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語(2019)
「続・若草物語」までのエピソードを絶妙な手際で再構築、少女時代の幸せな家庭の情景と、大人になった姉妹それぞれの歩みを女性監督ならではの視点で情感豊かに描いている。
作家となる夢に向かって突き進むジョーを体現したローナンが素晴らしい。


ジュディ 虹の彼方に(2019)
47歳で亡くなる半年前のロンドン公演を軸に、回想シーンを織り交ぜながら早すぎた晩年の束の間の輝きを描いています。
終生、本当の愛を求め続けた女性だったんだろうな。
Over the rainbowを歌うシーンは、ただ涙。
ゼルウィガーの演技、吹替え無しの歌唱が素晴らしい!

映画の余韻に浸るために、しばらくは手元にあるジュディ・ガーランドのCD4枚組音源「The Complete Decca Masters」を聴き続けることになりそうです。
1936年、14歳のデッカ初録音から、1947年のラスト・レコーディングまでの全110曲を収録しているコンピレーション・アルバムで、たっぷり楽しめます。


イエスタデイ(2019)
ビートルズが存在しない世界で、売れないミュージシャン、ジャックだけが彼らの曲を覚えていた。
娘心に鈍感な彼を一途に想う私的マネージャー、エリーの"枠付け"に倣えば、All You Need Is Love枠の映画です。エリナー・リグビーの歌詞を四苦八苦して思い出すシーンが可笑しい。


ジョーカー(2019)
一体、どこからどこまでがアーサーの妄想、幻視だったんだろう。一部なのか、ほとんど全部?
1976年の映画「タクシードライバー」の現実は丸ごと信じることができたけど、「ジョーカー」にはもはや客観的現実というものはなくて、その在り方が現代を象徴しているのかなと思った。


キャッツ(2019)
とてもよかった。ビジュアルも僕は好きだな。
T.S.Eliotの詩が原作。年に一夜限りの舞踏会、選ばれた猫が天に昇り新生を得る。
歌とダンスが切れ目なくて、ストーリーはシンプルそのもの。この辺で好みが分かれるのかな。
Memoryと映画版の新曲 Beautiful Ghostピアノ譜を探索中。
映画「Cats」のために新たに作られたウェーバーとテイラー・スウィフトの共作「Beautiful Ghost」の音源が公開されていて、とても気に入っています。
この曲を歌っている白猫ヴィクトリアを演じているフランチェスカ・ヘイワードは、英国ロイヤル・バレエのプリンシパル。"

(関連本)猫たちの舞踏会(2009)/池田雅之
ミュージカル「キャッツ」と原作の詩を対比し、その魅力と謎を探っている好著。登場猫たちのプロフィール付き。
驚くのは、ウェーバーらが、独立した14編のエリオットの詩にわずかな書き足しをしただけで、ほぼそのままま用いてミュージカルに仕立てたということ。


ビル・エヴァンス タイム・リメンバード(2019)

エヴァンスと生前ゆかりの人たちの証言により、至高のジャズピアニストの生涯を回顧したドキュメンタリー。
盟友ラファロの事故死、愛する兄、そして内縁の妻の自殺による精神的打撃と自身のヘロイン中毒。でも音楽はただただピュアだった。


レディ・プレイヤー1(2018)
仮想現実世界「オアシス」内に隠された3つの鍵を探索するSFアドベンチャー。
CGとリアルの融合による疾走感は、さすがスピルバーグ監督作品だ。
2つ目の鍵のヒント ”自分の作品を嫌う作者” で展開する映画「シャイニング」へのオマージュシーンが楽しい。

ベストセラーとなり、映画化されたアーネスト・クラインの小説「レディ・プレイヤー1(2011)」の続編「Ready Player Two(レディ・プレイヤー2)」が、今年11月に出るそうで、Amazonで予約受付が開始されています。
新作のストーリーの内容についてはまだ紹介されていないけど今から楽しみです。


はちどり(2018)
1994年、ソウルの団地で父母、兄、姉と暮す中学2年生14歳の多感な少女、ウニの日常の日々を描いている。
家族、学校の友人たちやボーイフレンドとの揺れ動く関係から離れ、ウニが憧れ、唯一信頼を寄せる漢文塾の女性講師の言葉 “世界は不思議で美しい” が沁みた。


ブレードランナー2049(2017)

「ブレードランナー」の30年後、新型レプリカントのブレードランナーであるKが、旧型レプリカントを処理する任務で驚愕の事実を発見する。
前作の監督リドリー・スコットが製作総指揮を務め、ストーリーの一貫性が保たれていて観ごたえ十分でした。音楽もよかった。"


ラ・ラ・ランド(2016)
女優志望の女性とジャズピアニストの恋愛を描いた王道ミュージカルです。監督賞、主演女優賞などアカデミー6部門を受賞。
もしあの時・・・だったら、という追憶の後、二人が見つめ合うシーンにジンときます。
「シェルブールの雨傘」へのオマージュなのかな。


メッセージ(2016)
テッド・チャンの短篇「あなたの人生の物語」が原作。 地球に来訪した異星人の目的を知るため、言語学者のルイーズは彼らと接触し、文字の解読を試みる。 小説よりはドラマティックなストーリー展開となっているけど、静かな印象の感動作です。表義文字の映像表現も納得できた。

(原作)あなたの人生の物語(2002)/テッド・チャン
SF短篇集。どの作品もアイディア、叙述が素晴らしく、作者の非凡な才能に圧倒されっぱなしでした。
異星人とのコンタクトを扱い映画化もされたタイトル作、天使の降臨が招く災厄と奇跡を描いた形而上的SF「地獄とは神の不在なり」が特に印象深かった。


ハバナ・ムーン(2016)
米国とキューバが国交回復した翌年の2016年3月、ザ・ローリング・ストーンズが、首都ハバナで大観衆を集めて行ったフリーライブの模様を収録。 ストーンズの定番曲オンパレードで、70代となっても衰えを感じさせないメンバーのパフォーマンスに、ただただ感動した。"
映像で演奏が聴けるのは、"Jumping Jack Flash" から "Satisfaction"まで15曲。 "Gimme Shelter" のバックボーカルの女性は代わったそうだけど、パワフルさはそのままだった。 スコセッシが撮った2006年ニューヨークでのライブ映画「シャイン・ア・ライト」(2008)同様、映像が素晴らしい。


インターステラー(2014)
クリストファー・ノーラン 監督
地球に代わる人類の移住先を求めて未知の惑星を探索する計画に携わる人々を描いたドラマ。
超越する時間と宇宙空間の描写が圧巻で、終始緊迫感を途切らさない演出がすばらしい。
“愛は力” 宇宙飛行士の父と娘の間に通い合う情感に心打たれます。


リスボンに誘われて(2013)
原作に登場する多数の人物、エピソードが整理されて全体の見通しがよくなっています。かといって決して小説のダイジェストに終わらない魅力のある映画です。
静謐な雰囲気、音楽、リスボンの町並みや路地が印象的。
原作とは異なるラストシーンに心暖まります。


人生の特等席(2012)

メジャーリーグの老スカウトと、弁護士となったひとり娘が一緒にスカウトの旅に出る。父娘間の長年のシコリが解消されるのかが焦点のドラマ。
80歳超えのイーストウッド! 監督もしてたら全く違う感じになったんだろうけど、この映画のハッピーエンド主義、好きです。


ミッドナイト・イン・パリ(2011)
ウディ・アレン監督
小説家を目指すギルは、婚約者との旅行先のパリで1920年代にタイムスリップし、ヘミングウェイやフィッツジェラルドらと出会う。
過去の偉人たちの、いかにもという雰囲気が絶妙。
ギルの振る舞いと口調がアレンそのままなのも笑える。


インセプション(2010)
クリストファー・ノーラン監督
ターゲットとなる人物の無意識に、特定の考えを植え付けるために潜在意識に侵入して夢を設計するミッションの物語。
夢の中の夢の中の夢・・・夢の階層と虚無が舞台で、ラストシーンの論議がにぎやかでしたが、僕はコブがトラウマを克服して現実に戻ったと思いたい。


シャイン・ア・ライト(2008)
スコセッシ 監督

ローリング・ストーンズの2006年、ニューヨークでのライブを収録。Jumpin' Jack Flashから Satisfactionまで18曲を堪能できます。
還暦越えのミック・ジャガーの引き締まったボディ、激しいパフォーマンスに驚嘆。キースもどっこい生きてる。


プレステージ(2007)
クリストファー・ノーラン 監督
19世紀のロンドン、因縁のあるライバル同士のマジシャンが互いの大ワザのタネを暴こうと争うサスペンス・ミステリー。
観終わった後も頭が混乱。 発明家役にデヴィッド・ボウイ、エンディング曲をレディオヘッドのトム・ヨークが担当しているのにも注目。


木漏れ日の家で(2007)
生まれ育った思い出深い古い家に愛犬フィラと暮らす老齢の女性、アニェラの孤高の日々を描いたポーランド映画。
モノクロによる光と影のコントラストを生かした精妙な画面作りは女性監督ならではかな。
91歳の女優さんと表情?豊かなフィラの共演は感動ものです。


ドリームガールズ(2006)
60年代を席巻した女性ソウルグループ、ダイアナ・ロスとシュープリームスをモデルにしたブロードウェイミュージカルの映画版で、デビューから栄光、メンバー間の葛藤、新たな出発を描いています。
全編を通してソウルフルでパワー全開のパフォーマンスが魅力です。


チャーリーとチョコレート工場の秘密(2005)
ジョニデのワンカ氏は、いかにも彼らしい怪演がぴったり役柄にはまっています。
ウンパ・ルンパたちの今風ノリノリの歌が聴けるし、あれこれの有名映画へのオマージュもあったりして楽しめます。
リスたちの名演技?に感動!


オペラ座の怪人(2004)

オペラティックなミュージカルで、映像と音楽が見事にマッチしていて、140分の長さを感じさせません。
愛を希求するファントムの激しさと哀しさ、クリスティーヌの優しさが、二人の歌声に込められていて心に染みます。切ないエンディングのシーンも忘れがたい。

「オペラ座の怪人」25周年記念公演 in ロンドン(2011)
映画版も大好きだけど、この生のステージの映像化作品は、それを凌駕する素晴らしさ! 演技・歌唱、舞台演出・美術、オーケストラによる生演奏、カメラワーク、いずれをとっても最高です。 ミュージカルの醍醐味を味わうことができます。"
カーテンコールの後、作曲者のアンドリュー・ロイド=ウェバーが登場し、彼の紹介で歴代のファントム俳優たちと初代のクリスティーヌを演じたサラ・ブライトマンが共演するというサプライズがうれしかった。 "


エレニの旅(2004)
ギリシャの巨匠テオ・アンゲロプロス監督作品。ロシア革命で難民として祖国ギリシャに戻った孤児エレニの愛と運命、とくに大戦と内戦に翻弄される姿が描かれています。長回しのショット、水のイメージ(雨、河、海、濡れた大地)など個々のシーンが詩的な映像美を湛えています。


ミリオンダラー・ベイビー(2004)
監督のイーストウッドは公開当時74歳、作品・主演女優賞など4つのオスカーを獲得。
女性版ロッキーかという期待をざっくり裏切ってくれます。
老年のトレーナーと遅咲きの女子ボクサー、肉親の愛に恵まれない孤独な二人が絆を深めていく描写が泣かせます。


ロスト・イン・トランスレーション(2003)
アカデミー脚本賞受賞。中年の危機にある俳優と、多忙な夫に放置され孤独感を抱く若妻が惹かれ合い、夜の東京を彷徨う。
人と人の相互理解の困難さという普遍的テーマを異文化の地、東京を舞台に鮮やかに描いている。この映画のスカヨハが好きだ。

シャーロット:「行き詰っているの。年と共に楽になる?」
ビル:「いや・・・そうだな・・楽になるよ」
S:「ほんと? あなたは違うみたい」 
B:「どうも。自分自身や望みがわかってくれば、余計なことに振り回されなくなるよ」
S:「自分でも何をやればいいのかわからないの」

“I’m stuck. Does it get easier?”
“No, − Yes. − It gets easier.”
“Oh, yeah? Look at you.”
“Thanks. The more you know who you are, and what you want, the less you let… things upset you.”
“I just don’t know what I’m supposed to be.”


シックス・センス(1999)
子どもの心の病を扱う小児精神科医のマルコムは、特異な霊感を誰にも打ち明けられず苦悩する少年、コールを救おうとする。
コール役の少年の演技、11歳にしてアカデミー助演男優賞にノミネートされたのもうなずける。
きっともう一度観たくなる映画。


エビータ(1996)
「キャッツ」のロイド=ウェバー作ミュージカルの映画化 。
貧しい田舎娘のエバが女優に、さらにアルゼンチン大統領夫人となり、"聖エビータ"と称えられる劇的な生涯の明と暗を描いている。 強い意志と野心で頂点に昇りつめるエバになりきったマドンナの演技・歌が素晴らしい。

全編台詞も歌われる純正(?)ミュージカルで、ラテン風味を効かせた曲も素敵です。
中でも、アカデミー歌曲賞を受賞した"You Must Love Me"、エバが大統領官邸のバルコニーから群集に向って歌う "Don't cry for me Argentina" が、とりわけ美しい曲です。


パーフェクト ワールド(1993)
脱獄囚と人質の男の子の逃避行を描いたイーストウッド監督のロードムービー。
父親に虐待された過去を持つ男と厳格な母親に抑圧されている少年、二人は新天地をめざす。
追っ手の警察署長と女性犯罪心理学者の絡みなど、脱力感あるシーンでひと息つけます。


さらば、わが愛/覇王別姫(1993)
幼い時から一緒に苦労して京劇のスターとなった蝶衣と小楼が、日本軍侵攻〜国民党から共産党〜文化大革命と時代に翻弄されながら生きる姿を描いた大作。カンヌ・パルム・ドール受賞作。
“覇王別姫”の虞美人を演じた蝶衣(レスリー・チャン)が妖し美し。


羊たちの沈黙(1991)
原作を尊重したデミ監督の演出が見事。アカデミー賞主要5部門を独占。
地方生まれの孤児院出身、頭脳明晰で頑張り屋のクラリスは、ジョディ・フォスターにぴったりの役柄。これは彼女の代表作に違いない。数回にわたるレクター博士との面会シーンがとくに印象深かった。

レクターにトラウマを告白するシーンから
Lecter: Then something woke you, didn't it? Was it a dream? What was it?
Clarice: I heard a strange noise.
L: What was it?
C: It was -- screaming. Some kind of screaming, like a child's voice.
L: And what did you see, Clarice?
C: Lambs."

グールドがピアノでバッハのゴルトベルク変奏曲を演奏している。苦しみと時間を超える美しい音楽・・・
/羊たちの沈黙

映画の中で流れるアリアの演奏は、グールドではなく、Jerry Zimmermanでした。
このアリアは、僕が暗譜でたどることができる貴重な曲です。


晩秋(1989)
ウィリアム・ワートンの小説を原作に家族の絆を描いたドラマ。スティーヴン・スピルバーグ製作総指揮。
ジャック・レモン扮する主人公の青年時代を彼の実の息子クリス・レモンが演じている。

母危篤の知らせで実家に戻ったジョンは、妻の言いなりで生気を失っていた78歳の父、ジェイクをこの機会に自立させようと奮闘する。
ジェイクと妻、ジョン、ジョンの息子、3世代の家族の絆を描き、人生について考えさせられる感動作。ジャック・レモンの名演に圧倒されます。


ジョー・ブラックをよろしく(1988)
死期が近い大富豪(アンソニー・ホプキンス)を迎えに来た死神(ブラッド・ピット)が、彼の娘に恋をするというロマンティック・ファンタジー。
ブラピ、う、うつくしい。でもホプキンスも超渋かっこいい。
父と二人の娘の情愛の交感が胸に沁みました。


ベルリン・天使の詩(1987)
ヴェンダース監督
天使が眺めるベルリンが白黒映像と人々のモノローグで描かれる。ストーリー性希薄の映像詩。 天使ダミエルは、空中ブランコ乗りの女性に想いを寄せ、人間になることを選ぶ。 図書館で天使たちが佇む姿、ニック・ケイヴのライブが印象的でした。
ヴェンダース監督はベルリンの街をロケハンするうちに、あちこちに天使の意匠があることを発見し、好きだった画家パウル・クレーの天使のイメージとそれが重なり、天使を主人公とした映画(ベルリン・天使の詩)というアイデアに結びついた。(Wikipediaより)
クレー最晩年の天使の連作は唯一無二のものです。


ハスラー2(1986)
スコセッシ 監督
賭けビリヤードから引退していたエディは、腕前を惚れ込んだ若いヴィンセントを誘って、大会が開かれる町を目指し武者修行の旅に出る。
アカデミー主演男優賞に輝いた渋かっこいいポール・ニューマンと、やんちゃなトム・クルーズの掛け合いが楽しい。


地獄の黙示録(1979)
コンラッドの小説「闇の奥」をベースに、ベトナム戦争を背景として恐怖に根ざす人間、文明の狂気を描いた映像叙事詩。
戦闘ヘリの騎行、プレイメイト降臨、指揮不在の戦場、ジャングルの河を遡るにつれ、ウィラード大尉の精神がカーツの闇と共振していく様がリアルだ。


ガントレット(1977)
イーストウッド 監督
さえない刑事が証人の娼婦を護送する先々で銃弾に見舞われる。目的地にたどり着けるかどうか、はらはらのアクション・ロードムービー。
ど派手に浴びた弾丸の数は知ってる映画の中では最多だけど、実生活でも恋人同士だった二人の旅は楽しそう。


仁義(1970)
監督:メルヴィル
刑務所を出所したばかりの男が、脱走犯とアル中の元警察官を誘って宝石店強盗をたくらむ。
暗い青を基調とした画面、女性が絡まない、会話が少なく静謐、クールな男たちの映画です。
イヴ・モンタンとアラン・ドロン、互いに拮抗する渋さ、かっこよさです。


ロミオとジュリエット(1968)
ロミオと、もうすぐ14歳になるジュリエットが出会い、愛し合って命を絶つまでたったの5日間。
まっすぐに破滅へと向かう青春の情熱を、ゼフィレッリは原作に忠実に演出しています。
初々しいオリヴィア・ハッセイ、ニーノ・ロータの旋律、ともに美しく哀しい。


遙か群衆を離れて(1967)
トマス・ハーディーの小説が原作の大作で、人間のドラマと自然描写に感銘を受けました。
叔父の後を継いで農場主となったバスシバと、彼女を愛する三人の男が織りなすロマン。 独立心に富み魅力的なヒロイン像は「風と共に去りぬ」のスカーレットを想起させます。


ドクトル・ジバゴ(1965)
革命前後のロシアを舞台に、医師であり詩人でもあるジバゴと恋人のラーラが運命に翻弄される姿を描いた大作。
久しぶりにテレビで観て改めて感動した。
バラライカで奏でられるラーラのテーマが美しくも哀しい。ジュリー・クリスティの瞳に恋したことを想い出した。


シェルブールの雨傘(1964)
セリフを含めて全編音楽の傑作ミュージカル。
ルグランが付けた音楽は、主題歌だけでなくセリフの部分まで美しい。フランス語の語感も心地よく、うっとりします。
絵画的な色彩・構図の演出がすばらしく、二人の思いが交錯する雪の夜のラストシーンが心に残る。


アラビアのロレンス(1962)
昔、劇場で観たときには歴史的背景もよく分からず、ただただ茫漠とした砂漠の情景描写に圧倒されてたけど、今回は田隅恒生著『「アラビアのロレンス」の真実』を読んで臨み、アラブの反乱でロレンスが果たした役割と彼の特異な個性に感銘を受けた。
やはり名作だ。


ウエストサイド物語(1961)
「ロミオとジュリエット」を現代アメリカに翻案したバーンスタイン作曲傑作ミュージカルの映画化。
「トゥナイト」「マリア」など名曲が目白押しで、「クール」のダンスシーンに悶絶。
ナタリー・ウッドが可憐でした。兄役のチャキリスも断然かっこよかった。


情婦(1957)
原作は、アガサ・クリスティの短篇及び舞台劇「検察側の証人」。
金持ちの未亡人を殺した容疑をかけられた男とその妻をめぐる法廷サスペンスの傑作。 原作を読んでなくて初めて観る人は幸せ。 有能で、少々お茶目な老弁護士の造形がビリー・ワイルダー監督らしくて笑えます。


パリの恋人(1957)

歌にダンスにファッションに、オードリー・ヘプバーンの魅力全開のラブコメディー。 彼女には初めてのミュージカル映画で、吹き替えなしで歌っています。 アステアとの年令差が気になるけど、彼は当時の大スターだったから違和感はなかったのだろう。古本屋のヘプバーンが好き。"


裏窓(1954)
ヒッチコックがスタジオにアパートの巨大セットを作り込んで撮ったサスペンス劇。
衣装をとっかえひっかえして目を楽しませてくれるグレース・ケリーを振ろうなんて、もったいない! 何を考えているんだろう、この男は。
ミス・ロンリーハートが幸せをつかんだようでよかった。


三つ数えろ(1946)
原作:大いなる眠り
チャンドラーの原作では曖昧だった結末をきっちりつけています。
ヴィヴィアン役のバコールを魅せる映画でもあり、小説では登場しない場面でも出て来るし、ボガートのマーロウともいいムードになっています。
脇役の女性が皆美人というのもホークスの趣味なんだろうな。


風と共に去りぬ(1939)
南北戦争前後の南部が舞台。
スカーレットと、彼女を演じたヴィヴィアン・リーの存在感に圧倒されます。
気が強くて、自分の気持に正直で、まっすぐなスカーレットの生きざまに感動。でも、スカーレットでなく優しいメラニー選んだアシュリーは賢明だったと思う。

映画「風と共に去りぬ」ラストシーンのスカーレットの有名なセリフ:
Tara! Home. I'll go home. And I'll think of some way to get him back.
After all… tomorrow is another day.

タラの土地があるわ! 故郷に帰ろう。そして彼を取り戻す方法を考えよう。
明日に希望を託すのよ。


イースター・パレード(1948)
アーヴィング・バーリンの名曲と、フレッド・アステア、ジュディ・ガーランドらの洒落たダンスシーンが見どころのMGMミュージカル。
アステアの華麗なダンス技に目が離せない。
他愛のないラブコメだけど、ジュディのコメディアンヌとしての魅力を楽しめます。


オズの魔法使(1939)
田舎育ちの少女ドロシーは、魔法の国オズで仲間たちと出会い、一緒に旅をする。
16歳のジュディを一躍スターにした名作。
ドロシーが歌うOver the rainbowと、「お家が一番だわ」There's no place like home. のセリフが有名。
久しぶりに観たけど、なんかとても新鮮!

映画「ジュディ」の冒頭のシーンは、オズの撮影セットでした。
スターへと導くYellow Brick Road(黄色いレンガの道)を選ぶか、女優をあきらめて平凡な人生を歩むのか選択を迫られたジュディは前者を選ぶ。
しかし、ドロシーのように ”幸せなホーム” には、たどり着けなかったんだ。

 

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