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玉の緒よ絶えなば絶えね ながらへば忍ぶることの弱りもぞする
式子内親王 |
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現代を舞台としながらも、愛し合う恋人たちのひたむきさにおいて、時代を遠く隔たった古(いにしえ)の趣(おもむ)きさえ感じさせるTVドラマでした。
全20回の各話のストーリーとハイライト・シーンを振り返ってみました。
各話の巻頭に掲げている和歌は、王朝の代表的女流歌人、式子内親王の作ですが、ストーリーとの関連はとくにありません。 |
以下を紹介中です。セリフや音楽等は、NHK総合TVでの日本語吹替え版に拠っています。
○ 作品データ
○ 「冬のソナタ」の魅力とは
○ 各回のストーリーの紹介と見どころ
○ 関連Web
○ (付録)聖母探求ドラマとしての「冬のソナタ」
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作品データ |
- 制作 : ユン・ソクホ
- 脚本 : キム・ウニ、ユン・ウンギョン
- 音楽 : イ・イム
- 韓国での放送 : 2002年1月〜3月に韓国KBSで放送。平均視聴率23.1%
- 国内での放送 : 2003年4月からBS2にて放送、同年12月に再放送
- 2004年4月からNHK総合テレビにて放送
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「冬のソナタ」の魅力とは |
- 大人のための童話
- この美男、美女による恋物語は、小さい頃読んだ童話、王子様が未来のお姫様を見そめて、最後にはメデタシメデタシとなる物語と相通ずるところがあるのではないかな。20回の長丁場を飽きさせない脚本、演出は見事。とりわけ、30代になったばかりの若い二人の女性脚本家のしなやかで繊細な感性が、主人公たちの内面の細やかな描写を可能としたのではないかと思います。
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- 初恋へのノスタルジー
- 誰もが胸に覚えがあるであろう初恋への郷愁を呼び覚ますストーリーが胸に沁みます。主人公たちの恋への一途さは天上的で、浮世離れしているといってもいいほど。ユジンにとっては、不可効力的に中断されてしまった初恋が心の中では終わっていなかったということ、ミニョンにとっては、真のライバルがすでに死んでしまった人であったことも、ピュアなラブストーリーを生み出した要因であると思います。
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- 冬・雪・白のイメージ
- この要素もドラマの魅力に大きく貢献していました。主人公たちの愛の燃焼の高まりとか、ドラマの人間関係から生まれる怨念とかが、雪を主体とした冬・白のイメージで中和、浄化されて、内容の割に息苦しさを感じさせず、清新なイメージをもたらしていました。毎回冒頭のタイトルバックの雪のシーンも効果的だったと思います。このドラマを観ていて、ソウルは一年中寒いところなのではないかと錯覚してしまう人がたくさんいるのではないかな。
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- 涙によるカタルシス
- TVの特集番組の中で、"泣きのユジン"を筆頭に登場人物たちが泣いた回数が、80数回と紹介されていたけど、感情を抑圧して生活するのが当たり前になっている日常で、ほぼ毎回確実に涙を流すユジンを観て、大人になっても、ああして泣くことが出来るのかと新鮮な思いを抱きました。
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- 耳に心地よいBGM
- ドラマの中でチュンサンが弾く「初めて」など、ピアノを主体とした音楽がムードを盛り上げていました。映画「ある愛の詩」でのフランシス・レイを意識した音作りではないかな。あれだけ繰り返し聴かされると、普段ふとした拍子に口ずさんでたりして... 気をつけなくては。
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- キメのセリフ
- 珠玉のような美しい愛のセリフの数々。普通だと気恥ずかしくなるようなセリフも、ユジンやミニョンの口から出ると、ちっとも不自然でないから不思議。おそらく、ふたりのひたむきな気持に共感できるからでしょう。
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- 近くて遠い韓国を知る
- 隣国でありながら意外と情報の少ない韓国の人々の暮らしや考え方を窺い知ることができ、興味深いものがありました。とくに、喜怒哀楽の表出が日本よりずっと素直であることを実感し、自然でいいなと思いました。韓国ドラマに影響されて、これからは日本のドラマでも泣きの場面が増えるのではないかな。
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春川高校時代の主要登場人物 |
第1話〜第3話に登場する主要登場人物の紹介です。( )内はキャスト名。
- チョン・ユジン(チェ・ジウ)
- 春川(チュンチョン)高校にバス通学する明るい女子高生。成績は優秀だが遅刻常習者。父(チョン・ヒョンス)は病で亡くなっていて、母と幼い妹(ヒジン)の三人暮らし。幼なじみのサンヒョクと同じ放送部に所属。
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- カン・チュンサン(ペ・ヨンジュン)
- ソウルの名門高校からの転校生。有名なピアニストの母(カン・ミヒ)はいわゆる未婚の母で、チュンサンには父の名前を明かすことを拒んでいた。チュンサンの転校の目的は、残された1枚の写真を手がかりに父を探すことだった。
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- キム・サンヒョク(パク・ヨンハ)
- ユジンの父(チョン・ヒョンス)とサンヒョクの父(キム・ジヌ)とが親友同士であったことから、ユジンとは幼なじみの仲で、彼女を初恋の相手として意識しているが、ユジンにとっては兄妹の感情にとどまっている。
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- オ・チェリン(パク・ソルミ)
- 同級生の放送部仲間。何事も派手な自信家で、自己中心的な彼女はチュンサンに一目ぼれし、彼とユジンが仲良くするのが気に入らない。
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- コン・チンスク(イ・ヘウン)とコン・ヨングク(リュ・スンス)
- 同級生の放送部仲間。ユジンの頼りになる友人たち。チンスクは歯列矯正中で、ヨングクが好き。ヨングクのほうは、どちらかというと体育会系のキャラクターの持ち主。チンスクのことは異性として意識していない様子。
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- キム・ジヌ(チョン・ドンファン)
- サンヒョクの父。大学の数学教授。若い頃、カン・ミヒを愛していたが、彼女はユジンの父を愛した。
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- カン・ミヒ(ソン・オクスク)
- チュンサンの母。国際的に活躍している高名なピアニストで、日本での公演も多い。今なお、死んだユジンの父を忘れられないでいる。
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第1話 出会い
頼むかなまだ見ぬ人を思ひ寝の ほのかに馴るる宵々の夢
式子内親王 |
友達の作り方、教えようか すごく簡単
お互いに一歩ずつ歩み寄ればいいのよ
それも一方通行じゃだめなの お互いに近づいて友達になるの
(湖畔でチュンサンに/ユジン)
(ストーリー)
元気はつらつの高校生チョン・ユジンは、今朝も遅刻しそうになりバスにあわてて飛び乗ったものの、隣に坐っていた高校生の肩にもたれかかって寝込んでしまい、停留所を乗り過ごしてしまった。二人でタクシーで学校へ向かったが、またもや遅刻。一緒だった高校生は、カン・チュンサンというソウルの科学高校からの転校生だった。成績抜群だったらしい彼にはミステリアスな雰囲気が漂っていた。彼はユジンと同じ放送部に入部、繁華街で酔っ払いにからまれたユジンを助けたことから二人は親しくなり、自習時間にチュンサンはユジンを湖畔の初デートに誘い出した。
(エピソード)
- ユジン登場
- 茶目っ気たっぷりのユジンが印象的。バスの前にはだかって、バスを止めてしまうという荒業もやってのけてます。ロングヘアも似合ってました。ポニーテールがいいな。通学バスでの寝過ごし(2度)は、どんな状況でもすぐに寝てしまうという彼女の特性を示した最初のエピソードでした。
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- チュンサン登場
- ハンサムで、文武芸万能、陰があって冷たそうだが実はやさしかったりするというキャラは、少女コミックの典型的ヒーローのイメージそのもの。強烈な印象を残して突然死んでしまったら、ユジンならずとも心に消しがたいトラウマを残すに違いない。第3話から登場するそっくりさんのミニョンより、こちらのほうがきりりとしてかっこいいと思う。
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- サンヒョク登場
- 一途にユジンを想う彼だけど、ユジンにとってサンヒョクは、いつまでたっても気を許した幼なじみの域にとどまっているのは、ホント気の毒というしかない。いいひとなんだけどね。
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- 音楽室でピアノを弾く二人
- ユジンはチュンサンに音楽の課題のピアノを教えてあげようと、午後の陽射しの差し込む音楽室で課題曲の「トロイメライ」を弾き始めますが、途中でつっかえてしまいます。するとチュンサンが、その後をすらすらと弾き、続けて「初めて」を弾き始めます。母が有名なピアニストだから当然なんだけど、何も知らないユジンが驚きをもってチュンサンを見つめるシーンでは、逆光を効果的に使った映像が美しかった。初恋にはショパン(たとえばノクターン)ではなく、やはり「トロイメライ」がふさわしいと納得。
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- 秋深まる夕暮れの湖畔の初デート
- 初雪デートと並ぶ、二人にとっての思い出のデートは、ユジンにとって(観ている僕らにとっても)、甘美さと、それ以上のかなしさを伴って繰り返し想い起こされる初恋を象徴する出来事でした。なかでも、冒頭に掲げたユジンの言葉を受けたチュンサンが、横たわった木の幹の平均台上でバランスをとるユジン(平均台愛好者です)に手をさしのべるシーンは、初雪デートでのキスシーンとともに名場面として記憶されることでしょう。
(資料)
- 関連音楽
- ・トロイメライ/シューマン(当サイト): 弾けません。オリジナル曲「はじめて」も弾いてみたい。
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- ユジンの涙: 0回 涙を見せなかったのは、おそらく第1話だけではないかな。
- → 予想に反し、第12話、第16話、第17話も 0回でした。
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第2話 はかない恋
はかなしや枕さだめぬうたたねに ほのかにかよふ夢の通ひ路
式子内親王 |
わたし、授業をさぼったのも初めてだった
男の子と塀を乗り越えたのも 手を握ったことも
二人きりで散歩したのも 全部初めて
(放送室でチュンサンに/ユジン)
(ストーリー)
湖畔のデートの翌日、ユジンとチュンサンは、担任の"ゴリラ"から、授業をサボった罰として1ヵ月間、焼却場の掃除を命じられた。二人の親密ぶりに苛立つサンヒョクとチェリン。サンヒョクは、チュンサンがユジンに近づいたのは、自分に対するあてつけではないかとチュンサンに詰めより、思わず「そうだ」と答えたのを聞いたユジンがチュンサンの頬を叩き、週末に約束したデートを断った。
放送部仲間の山小屋でのクリスマス・キャンプで、チュンサンとの気持のすれ違いから、ユジンは山中に駆け込み迷子になってしまう。サンヒョクとチュンサンが捜しまわり、チュンサンが途方に暮れて泣いているユジンを見つけ、二人の間のわだかまりはようやく解消する。
初雪が降った日のデートで、二人の互いへの想いは一層深まり、大晦日の夜にまた会う約束をした。ところが、自分の出生の秘密を知ったチュンサンは、ユジンの前から姿を消す決心をし、大晦日の夜、母とともにアメリカへ渡るため車で空港に向かっていた。
人込みの中で待ち続けるユジン。最後にもう一度だけユジンに会いたいとの気持を抑えられず、チュンサンは車から飛び出し、ユジンの待つ場所へ必死に走った。その彼の目の前に車のヘッドライトが・・・・
(エピソード)
- チュンサンの父親探し
- 母親(カン・ミヒ)と一緒に写真に映っていたサンヒョクの父であるキム教授が、自分の実の父だと確信したチュンサンは、彼を大学の研究室に訪ねます。チュンサンの数学の才能を見抜いたキム教授は、チュンサンに個人授業を申し出ます。初雪デートのあとで寄ったユジンの家のアルバムに、母をはさんでキム教授と、ユジンの父(故人)の3人並んで撮った写真を見出したチュンサンは、キム教授から、自分はミヒを愛していたが、ミヒが愛したのはユジンの父であったことを知り、激しく動揺します。自分とユジンとは、実の兄妹なのではないか?!
ドラマはこのまま、"親の因果が子に報い"というよくあるパターンに、はまってしまうのかと思わせたエピソードでした。
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- クリスマスの山小屋キャンプ
- 韓国でも日本でも、クラブ合宿でやることは似たようなものだなと、ゲームの場面を見ながら感慨にふけりました。今でもキャンプファイアで、"いつまでも絶えることなく 友達でいよう..."
なんて歌うのだろうか。
- 夜道に迷った時には、道しるべに夜空のポラリス(北極星)を探すんだ、というチュンサンの言葉が胸に沁みたユジンは、後年仲間と始めた建築設計事務所に「ポラリス」と名づけたんですね。このときにユジンは、チュンサンに好きだと告白しています。ちょっと回りくどかったけど。
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- 「わたし あなた きらいじゃないわよ」
- 「わかってる」
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- 初雪の日のデート
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長丁場のドラマの中で、もっとも美しくメモリアルな場面です。毎回のタイトルバックの画面でもあり、それこそ何10回も観ているけど、じつにいいシーンです。"愛とは決して後悔しないこと"の言葉で有名な映画「ある愛の詩」で、ライアン・オニールとアリ・マックグローが雪と戯れるシーンと並ぶ冬場の恋の名場面ではないかな。
- ファースト・キスもしてしまいますが、キスというより、チュンサンに"唇を盗まれた"といったほうがふさわしい淡いものでした。
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- ヒジン登場
- デートの帰りにユジンの家に立ち寄ったチュンサンに一目惚れをしてしまいます。まだ小学生なんだろうけど、異性を見定める目は確かで(単に面食いというだけかも)、奥手の姉さんとはタイプが違うみたい。姉さんのような美人にはならないみたいでしたが、大人になっても姉に嫉妬して恋の邪魔をするのではないかと思ったけど、これは外れでした。
(資料)
- 関連音楽
- ・ピアノソナタ第17番「テンペスト」op.31-2/ベートーヴェン
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ユジンの家のアルバムに問題のスナップ写真を見つけたチュンサンが、家を飛び出し、キム教授に会いに大学へ走る場面に流れていました。「テンペスト(嵐)」の題名は、シェイクスピアの戯曲から取られています。「悲愴」、「月光」と並ぶベートーヴェン初期のピアノ・ソナタの代表作。
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- ユジンの涙: 1回(累計1回) キャンプで山中に迷い込み心細くて泣いてしまう。
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10年後の主要登場人物紹介 |
第3話〜第20話に登場する主要登場人物の紹介です。( )内はキャスト名。
- チョン・ユジン(チェ・ジウ)
- 友人と設立した建築設計会社ポラリスで、インテリア・デザイナーとして働いている。幼友達のサンヒョクと婚約中。
- イ・ミニョン(ペ・ヨンジュン)
- ポラリスの得意先の不動産開発会社マルシアンの新しい理事としてアメリカから赴任して来た。チュンサンとそっくりさん。
- キム・サンヒョク(パク・ヨンハ)
- ラジオ放送局のディレクター。幼友達で初恋の相手でもあるユジンと婚約している。
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- オ・チェリン(パク・ソルミ)
- フランス留学の箔(はく)をつけて、派手さと自己中ぶりをパワーアップした。ブティックを開店。
- コン・チンスク(イ・ヘウン)とコン・ヨングク(リュ・スンス)
- 高校時代とは見違える変身を遂げたチンスク。歯列矯正が効果をあげたのか。高校の同級生のヨングク(志望通り獣医になった)をいまだに好きなようだ。
- キム次長(クォン・ヘヒョ)とイ・ジョンア(パク・ヒョンスク)
- マルシアンのキム次長とユジンの同僚のジョンア、それぞれの立場でミニョンとユジンの恋を暖かく見守っている。爺やと婆やの関係は果して恋に進展するのか。
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第3話 運命の人
見しことも見ぬ行末もかりそめの 枕に浮ぶまぼろしの中
式子内親王 |
わたしが見たのは夢だったのかしら
いつも祈ってたわ
わたしの記憶の中にある あなたの笑顔を もう一度見せてくださいって
初雪が わたしの願いをかなえてくれたのかな
ねえチュンサン いまどこにいるの どこで何をしているの
(独白/ユジン)
(ストーリー)
年が明けて登校したユジンを待ち受けていたのは、チュンサンの事故死の知らせだった。放送部の仲間による湖畔でのチュンサンとの別れの儀式。ユジンは茫然と佇(たたず)み、泣くことさえできなかった。帰宅したユジンの元に、チュンサンからの小包が届いた。チュンサンのピアノ演奏による「初めて」とチュンサンの声を録音したカセットテープだった。チュンサンの死が実感をもって胸に迫り、泣き崩れるユジン。
10年後、ユジンとサンヒョクの婚約パーティーの当日、ユジンはパーティー会場へ向かう途上、初雪の舞う街で、チュンサンそっくりの男性を見かけて後を追うが見失ってしまう。それでもあきらめきれないユジンは、街中をさまよい歩く。ユジンが現われないまま婚約パーティーは終わってしまい、サンヒョクが遅れたわけを問い詰めるが、ユジンは無言のまま。
チンスクとヨングクが、仲間内で婚約パーティーのやり直しを母校(春川高校)で行うことを企画し、ユジンとサンヒョクは校庭で指輪を交換する。ところが遅れてやって来たチェリンがチュンサンそっくりの恋人ミニョンを連れて来てまたもや台無し。ミニョンは、初雪の日にユジンが街で見かけたその人だった。
ソウルに戻ったユジンは、新しい契約のため得意先の不動産開発会社マルシアンに出かけ、新しい理事として赴任したミニョンと再会する。
(エピソード)
- ミニョン登場
- ユジンはともかくとして、誰もかもがチュンサンそっくりと言うけど、そんなに似ているのかな。二役だから似るのは当たり前だけど、メガネをかけたり、髪を染めたりして上手く変装しているので実感が湧きません。チュンサン同様、こちらも大変なエリートで、"才能と財産があって、顔がよくて声もいい"(ジョンア談)。ときに天はニ物も三物も与えてしまうのです。
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- ユジン再登場
- 雪の降り積もった湖畔での亡きチュンサンとの別れの儀式のときの凄愴とした表情が目に焼き付いています。チュンサンと知り合って、ほんの1,2か月という短い時間ではあったけど、秋から冬にかけての初恋の記憶は、チュンサンの死により鮮烈にユジンの胸に刻み込まれることになりました。
10年後のユジン、髪をショートカットにしての颯爽(さっそう)としたキャリア・ウーマン振りがまぶしい。相変わらずバスを追いかけていました。
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- サンヒョク再登場
- 高校時代とほとんど変わらないままの再登場。ユジンのために、担当するクラシック番組でポップスを流したりして、大丈夫なのかな。彼の性格を特徴づけるやさしさと一途さが、ユジンとの関係ではマイナスに作用してしまった感があります。とりあえず、この10年間ユジンを独り占めできたのだから、まあいいんじゃないかな。
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- チェリン再登場
- パワーアップして再登場、しかもフランスで知り合ったミニョンとは恋人の間柄ということで断然有利のはずなので、ドラマの最後の最後までユジンと争うのではと思っていました。
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- キム次長登場
- 仕事どころではない新任の上司を持って大変そうだけど、口でぼやくほどにはそれほど苦にしていない様子。癒しのキャラクターで好きです。
(資料)
- 関連音楽
- ・ピアノ協奏曲第2番/ラフマニノフ
- 第一楽章の冒頭部分。チュンサンの死を聞き、動揺するユジンの不安を表していました。
- ・弦楽四重奏曲 第15番 ニ短調 K.421/モーツァルト
- サンヒョクがディレクターを務める番組で、定評あるアルバン・ベルク四重奏団の演奏による第一楽章の冒頭部分を放送。K.321は、6曲あるハイドンセット四重奏曲の中で、唯一の短調の曲。
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- ユジンの涙: 4回(累計5回)
- @ チュンサンの死を聞き、教室で
- A チュンサンから送られたカセットテープを聴いて
- B 婚約パーティーの翌朝、母に責められて
- C 捜しに来たサンヒョクに優しい言葉をかけられて
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第4話 忘れえぬ恋
忘れては打ち歎(なげ)かるる夕べかな 我のみ知りて過ぐる月日を
式子内親王 |
形としての家はどうでもいいんです
好きな人の心が一番すてきな家だと思います
(スキー場でミニョンに/ユジン)
(ストーリー)
ユジンは、契約の打合せのためマルシアンに行き、噂の新理事がミニョンであることがわかり、衝撃を受けた。
チュンサンと生き写しのミニョンと顔を合わすのが辛いユジンは、仕事の担当を降りると同僚のジョンアに宣言するが、ことさら自分を無視しようとするユジンに逆に関心を抱いたミニョンは、彼女が引き続き担当することを契約の条件とした。過去のいきさつから、ユジンはサンヒョクに、ミニョンが契約先のボスであることを言い出すきっかけをつかめずにいた。
ある日、ユジンはジョンアの代理として契約した仕事先であるスキー場に視察に行くことになるが、たまたまミニョンが同行することになった。ユジンはミニョンを無視しようとするが、無意識にチュンサンの面影をミニョンに探し、彼に惹かれていく気持ちをどうすることもできなかった。
一方、サンヒョクは、偶然ミニョンがマルシアンの新理事であることを知り、そのことを言わないユジンの行動に不審を抱くようになる。ユジンは、サンヒョクにミニョンのことを伝えようとレストランで会うことにするが、それを知ったチェリンは機先を制しようと企み、偶然を装ってミニョンを伴いレストランにやって来た。
(エピソード)
- ミニョンとチェリンの関係
- 日本的な感覚から考えると、ふたりはとっくに深い関係なんだろうと思うけど、チェリンはミニョンの暮らしているホテルに泊まったことはないみたいだし、どうも友達のレベルにとどまっているような気がします。全体的に性的な表現が希薄なのは、TV倫理規定が日本よりずっと厳しいせいなのではという気もします。実際はどうなんだろう。
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- ミニョンとユジンの関係
- ユジンに無視されたミニョンは、「僕に関心のない女性は初めてだから・・・」と言い、すぐに「今のは冗談だけど」とフォローしていましたが、本音に近いんだろうな。ユジンが普通に対応していれば、ミニョンもむきにならずに、仕事の関係で終わったかもしれないのに...
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- ユジンの血液型
- ミニョンが、ユジンに「A型でしょう?」と尋ね、ユジンがA型タイプの
"正直者で、自分の感情をごまかせなくて、嘘をつけなくて、そのくせ本当に言いたいことを言えないで、鬱々とする"タイプに見えるからと言ってました。韓国でも日本と同じように血液型性格判断がポピュラーなんだろうか、それとも割と自由にアレンジした吹替えなんだろうか。ユジンはミニョンの質問に否定も肯定もしていなかったけど、彼女にはO型的要素もあると思います。
(資料)
- サンヒョクの携帯電話の着メロ
- モーツァルトの歌劇「魔笛」の中で、パパゲーノが吹く笛の音なのでは。さすがクラシック番組のディレクター、と思いましたが、別の個所では違うメロディだったので、確かではありません。
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- ユジンの涙: 1回(累計6回) マルシアンのオフィスでチュンサンそっくりのミニョンに再会して
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第5話 罠
恨むとも歎くとも世の覚えぬに 涙なれたる袖の上かな
式子内親王 |
好きな色は何ですか
好きな色は白でしょ きっと白にきまってる
好きな季節は冬でしょ 私も冬がいちばん好きなの
(ミニョンのホテルの部屋でミニョンに/ユジン)
(ストーリー)
サンヒョクは、ユジンがミニョンと仕事をしていることを、チェリンの口から聞かされることになる。レストランからの帰りの車の中でユジンは、サンヒョクに嫌な思いをさせるくらいなら仕事をやめると言い、一旦は、それなら辞めろと答えたサンヒョクだが、ユジンの気持を思いやり、続けたほうがいいと励ました。
チェリンはミニョンに、ユジンは昔からことごとく自分の真似をし、同じ人を好きになったなどと吹き込み、それをミニョンは半信半疑で聞いていた。ところがチェリンの策謀で、ユジンはマルシアンの創立記念パーティーに、チェリンが着ていたものと同じ服で出席し、チェリンの言葉を思い出し、驚くミニョン。
ミニョンとキム次長がジャズ・バーで飲んでいると、ポラリスのメンバーがやって来て合流した。告白ゲームで初恋についての質問に答えなかったユジンは、罰ゲームで飲めない酒を飲み、酔いつぶれてしまう。他のメンバーが帰ってしまい、ミニョンは仕方なく残されたユジンを、ホテルの自分の部屋に抱きかかえるようにして連れ帰った。
(エピソード)
- チェリンの本領発揮
- ユジンを陥れる策略がことごとく効果をあげ、絶好調のチェリンが輝いていました。仕事ぶり以外においては、地味目のユジンだけでは暗くなりがちのドラマに華やかさを与えてくれる貴重なキャラなので、がんばって欲しい。でも意外に腰砕けという感じだったのが残念。
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- サンヒョクの優しさ
- ユジンが繰り返し、ミニョンとの仕事を辞めると言うのに、サンヒョクは「チュンサンの幻影を追い払えなくて、この先どうするんだ」と言って、続けることを励ましていました。後で「何であのとき、あんなことを・・・」と、きっと後悔したことだろう。でもこの回のサンヒョクは男らしく、かっこよかった。
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- 悪酔い続出
- 韓国の会社でも仕事帰りに仲間と一杯というのが浸透しているようで、皆さんほんとによく飲んでます。今回は、チンスク、ジョンア、ユジンと女性陣が総倒れとなりました。チンスクのからみ癖が、一番たちが悪そう。
(資料)
- パーティーで流れていた曲: モーツァルトのセレナード ト長調「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」K.525
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- ユジンの涙: 1回(累計7回) 車の中で、サンヒョクに優しい言葉をかけられて
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第6話 忘却
つらしともあはれともまづ忘られぬ 月日幾度めぐりきぬらん
式子内親王 |
今までにあなたは誰かを心から愛したことがありますか
何ひとつ変わっていないのに その人だけいない感じがどんなものなのか
そのさみしさがわかりますか
(スキー場のマルシアンの事務所でミニョンに/ユジン)
(ストーリー)
ミニョンはチェリンに警告されていたことが念頭にあって、自分が初恋の人に似ているとのユジンの言葉を自分に近づくための手段と考え、ユジンに冷たく当たった。ミニョンの態度に傷ついたユジンは、ミニョンとは仕事上の付き合いと割り切ることをあらためて決意した。
ポラリスが契約を結んだスキー場での工事が開始となり、関係者はスキー場のホテルに滞在することになった。ジョンアや工事現場の人間からユジンの不器用までの清廉さの評判を聞かされたミニョンは、チェリンから聞かされたユジン像との開きの大きさに戸惑いを隠せない。
社用でソウルに戻ったミニョンはチェリンの店に行き、チェリンとチンスクの会話を立ち聞きしてしまう。チェリンが外出した隙に、チンスクからユジンとチュンサンのいきさつを聞き出したミニョンは、チェリンの言葉が全て嘘だったことを知った。
次の日、スキー場で、ユジンはミニョンの頭上に木材が倒れかかるのを見て、ミニョンを突き飛ばし彼を救うが、自分は負傷し救急車で病院に運ばれた。。
(エピソード)
- 亡き人に対する想い
- 合理主義的なミニョンの考え方では、「死んだ人への一番のプレゼントは、忘れてあげること」であり、ユジンの母が亡き夫に抱く想いは「何ひとつ忘れることなく心で覚えていて、永遠に忘れない」でした。ユジンは、今までチュンサンを無理に忘れようとしていたけど、そうした無駄な努力はやめようと心に決めます。
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- チェリン、苦境に立つ
- 嘘がバレバレとなり、チェリン危し。まだ全体(20回)の1/3も終わっていないのに、ここで駄目になっていいのか、と心配したけど、次から次へと事件やら新たな事実が降りかかり、これは危惧に終わりました。
(資料)
- タロットカード「運命の輪」
- ジョンアがミニョンの恋愛を占ったタロットカード占いは、オカルトっぽい結果となり、ユジンとミニョンの運命的な愛の行く末をダメ押しする強力なエピソードでした。ミニョンが選んだカード「運命の輪」の解説:
Yahoo!占い
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- ユジンの涙: 2回(累計9回)
- @ ホテルの部屋で、ミニョンをチュンサンと思い込んで
- A 母親との電話で、父親との思い出を聞いて
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第7話 冬の嵐
さらでだに思ひの絶えぬ冬の夜の 松風ふけぬ霰(あられ)乱れて
式子内親王 |
こんなにきれいな景色なのに あなたは思い出しか見ていない
悲しい思い出しか見えていない
そんなに心を縛りつけて誰を愛せるんです
世界はあったかくて美しいのに 孤独に生きるつもりですか
(春川の湖でユジンに/ミニョン)
(ストーリー)
ミニョンを身をもって庇(かば)い怪我をしたユジンは入院したが、幸い軽傷で済んだ。サンヒョクは、ユジンがミニョンを庇ったのは、ミニョンとチュンサンを同一視しているからだと、チュンサンのことを忘れられないユジンを責めた。
一方、ミニョンはチェリンの嘘を問い詰め、泣いて許しを請うチェリンに、しばらく会わないでいようと告げた。
退院の日、ユジンは花束を手に待っていたミニョンと公園を散歩し、今までの誤解について謝るミニョンと和解の握手をした。
ソウルに戻ったチェリンは、サンヒョクを放送局に訪ね、ミニョンをユジンに取られるから、今すぐユジンと結婚するよう迫った。不安を感じたサンヒョクは、ユジンのそばにいられるようスキー場でのコンサートを企画する。
母が倒れたとの知らせに、ユジンはミニョンが運転する車で実家に戻った。母の具合は大事には至らず、帰りにミニョンはユジンを、チュンサンとの思い出の場所である湖に連れて行き、過去の思い出にとらわれているユジンに現実を見つめるよう話した。
スキー場の山頂にある建物の改装の調査のため、ミニョンとユジンはロープウェイで山に登ったが、吹雪のため降りることができず、二人は建物に取り残され、暖炉の前でミニョンはユジンに愛を告白した。
(エピソード)
- ミニョンのユジンへの愛
- チェリンの嘘による心のわだかまりが解けたことにより、当初から感じていたであろうユジンに対する愛が一気に燃え上がったようです。彼にとってのライバルは、婚約者のサンヒョク以上に、10年前に死んだユジンの初恋の相手チュンサンでした。「忘れたくても、この目がチュンサンの顔を覚えている。この心がチュンサンの言ったことを覚えているの」とユジンが言うくらいで、なるほど強敵です。
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- キム次長
- 新任の理事であるミニョンの部下として、ミニョンの心がユジンに傾いていくのを脇で見ていて、色々と心配したり忠告したりするのだけど、深刻ぶらずに軽みがあってなごめます。部下というより、若殿に仕える御家老というイメージに近い気がします。ジョンアとの恋の発展を期待していたんですが...
- この役者さん(クォン・ヘヒョ)は、感涙映画「ラスト・プレゼント」での人情味溢れる詐欺師の役もとてもよかった。
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- ミニョンのピアノ
- ピアノを習ったことのないはずのミニョンが、チュンサンが弾いた曲「初めて」の冒頭を弾いてしまった。しかも両手で。弾けた本人もびっくりしていたけど、観ていたこちらもびっくり。合理的に説明がつくのは、ミニョン=チュンサンしか考えられず、今までのそっくりぶりの理由もつくけど、あの方は死んだはずではなかったっけ...
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(資料)
- ユジンの涙: 2回(累計11回)
- @ 病室で、サンヒョクにチュンサンを忘れられないからこんなことになると言われて
- A 湖で、チュンサンを思い出して
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第8話 疑惑
静かなる暁ごとに見渡せば まだ深き夜の夢ぞ悲しき
式子内親王 |
僕はあなたが好きだけど あなたが想っている人は僕じゃない
だったら あなたがしたいこと 望むことを助けてあげるのが
僕にできることだと思うんです
(スキー場のホテルの喫茶店でユジンに/ミニョン)
(ストーリー)
一夜を山頂の建物で過ごしたミニョンとユジンを追って、翌朝サンヒョクとチェリンが再開したロープウェイでやって来た。サンヒョクの前で、「あなたを好きになったことは一度もありません」とユジンに言われたミニョンは、それならあなたは一体誰を愛しているのかと逆に問い詰め、ユジンは答えられず沈黙してしまう。
ホテルに戻ったサンヒョクは、ユジンをソウルに連れ戻そうとするが、ユジンは仕事を途中で投げ出せないと拒む。怒ったサンヒョクはユジンに、君の心が揺れているのがいけないんだと言い残して一人で帰ってしまう。翌日サンヒョクに謝るためにソウルに戻ったユジンに、サンヒョクは冷たく応対し、ユジンは傷心を抱いてスキー場に戻り、ミニョンはそんな彼女を暖かく慰めた。
チェリンはミニョンに別れを告げられるが、諦め切れない彼女はサンヒョクの母にユジンとミニョンのことを告げ口する。サンヒョクの母の誕生日に、サンヒョクの家でユジンはサンヒョクの母に問い詰められ、怒ったサンヒョクはユジンを連れて家を飛び出し、市内のホテルにチェックインした。帰ろうとするユジンをベッドに押し倒すサンヒョク、ユジンは部屋を飛び出し、あてもなく街をさまよい、ミニョンからの電話に、自分がどこにいるのかわからないと答えた。
その頃、ニューヨークからの便で、ピアニストでチュンサンの母だったカン・ミヒが空港に着き、電話で話している。「チュンサンは元気にしている?」
(エピソード)
- チェリンの失敗
- ついにミニョンから決定的な別れを宣告されてしまいます。まあ嘘をついても、つかなくても結果は同じだったんじゃないかと思うけど。運命的な愛は、誰にも止められない、止まらない。やけくそで、いまさらサンヒョクの母に告げ口しても、もともとユジンを嫌う(何故?)サンヒョクの母に、サンヒョクとユジンの婚約解消の口実を与えるだけなんじゃないか。
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- サンヒョクの失敗
- ユジンとの気持の行き違いが重なり、ただでさえうまくいっていないところで、ベッドに押し倒すなんて致命的なミスを冒してしまい、ユジンの気持の離反は決定的なものとなってしまいました。28歳の大人なんだからなんていう論理は、生真面目一途のユジンには通用しないのは、充分わかっているはずのサンヒョクなのに、魔がさしたと言う他はありません。ここでユジンを潔くあきらめてしまえたなら、彼の人物評価は高かったのに...
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- ユジンとミニョンの関係
- 二人にとって障害となっていたチェリンとサンヒョクがそれぞれ自滅みたいな格好で退いてしまい、ついにユジンとミニョンは互いの気持を真っ直ぐ見つめることができる状況に至ったのでした。残る障害は、ユジンの誠実さ故の優柔不断と、ミニョンの出生の秘密か。まだ半分も終わっていないのに、これからどうドラマを展開させるつもりなんだろう。
(資料)
- ユジンの涙: 3回(累計14回)
- @ ソウルからスキー場に戻るバスで
- A 降雪機の下で、舞い降る雪を受けながら
- B ソウルのホテルから飛び出して
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第9話 揺れる心
束の間の闇の現(うつつ)もまだ知らぬ 夢より夢に迷ひぬるかな
式子内親王 |
人生には分かれ道に立つ瞬間があるでしょう
こっちに行くべきか あっちに行くべきか決めないといけない
決められないときは 手を引かれた方に行くのもいい
こんな風に
(夜のスキー場でユジンに/ミニョン)
(ストーリー)
ユジンは、捜しに来たミニョンの車でスキー場に戻った。翌日ユジンはサンヒョクに結婚を考え直して欲しいと話すが、納得しないサンヒョク。ユジンはミニョンとも会い、あなたを好きだが自分はミニョンとサンヒョクのいずれかを選ぶことはできない、だから一人で生きていくつもりだと告げるが、ミニョンは、それは選択でなく放棄だとユジンに言った。
スキー場での公開放送の日、サンヒョクはユジンに、婚約解消は認めないと言い、二人は物別れとなる。サンヒョクの両親やユジンの母を招待した公開放送の終了間際に、司会者に企画者としてステージに呼ばれたサンヒョクは、ユジンと来月結婚すると宣言し、これを聞き沈痛の面持ちのユジン。ところが、放送終了後、サンヒョクの母は皆の前で、ユジンには他に好きな人がいるのではないかと非難し、居たたまれなくなったユジンは、「結婚はできません」と言い残して部屋を飛び出した。
ユジンに追いついたミニョンは、もうあなたを絶対誰にも渡さない、これからは僕の言うとおりにしてと言われ頷くユジン。二人で向かったミニョンの別荘には、帰国していたミニョンの母がいた。
(エピソード)
- サンヒョクの居直り
- ユジンとの婚約、結婚を何とか既成事実に持ち込もうと空しいあがきをするサンヒョクに同情する人は少ないだろうけど、サンヒョクとすれば子供の時からずっと身近にいたユジンを簡単に思い切ることはできないのだろうことは理解できます。「愛してくれなくても、僕のそばにいてくれるだけでいい」という言葉は、彼の内心の悲鳴を聞くようで胸が痛みます。
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- ユジンの優柔不断
- サンヒョクとミニョンを天秤に掛けて、どちらがいいかと悩むのではなく、両方ともあきらめると決断するところは、二人に対して誠実でありたいという心優しいユジンならではでしょう。そして、そうは決心しつつも、サンヒョクに辛くされた後で、ミニョンに優しい言葉を掛けられると、そちらになびいてしまうユジンを責めることはできないと思います。
(資料)
- ユジンの涙: 2回(累計16回)
- @ 公開放送の後
- A ミニョンの腕の中で
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第10話 決断
我が恋は逢ふにもかへすよしなくて 命ばかりの絶えや果てなん
式子内親王 |
わたし あなたにごめんなさいなんて言いませんから
あなたは わたしの一番大切なものを 持っていったから
わたしの心を持っていったから
(スキー場でミニョンに/ユジン)
(ストーリー)
部屋を飛び出したユジンを追ったサンヒョクだが、彼女を見失ってしまう。ホテルに引き返したサンヒョクは皆に向かって、ユジンをソウルに帰らせたと嘘をつき、この間、彼女を無理やりホテルに連れ込んだ僕が悪かったんだと告白し、皆は衝撃を受けた。
翌朝、ユジンはミニョンの別荘で目覚め、二人で朝食を共にした。ユジンは、皆がソウルに向かったと知り、ミニョンに車で送られてアパートに着くと、すでに戻っていた母から、サンヒョクにひどいことをしたと責められた。サンヒョクからは、ミニョンはチュンサンではないのにどうしてだと言われ、「理由なんてない」と答えるしかないユジンだった。「君を許さない」と言い残してサンヒョクは去って行った。同居していたチンスクも、もう一緒にはいられないと、荷物をまとめ出て行き、周囲から孤立するユジン。
スキー場に戻り仕事を再開したユジンに、自暴自棄となったサンヒョクが入院したと言う知らせが入り、サンヒョクの母やヨングクからサンヒョクに会ってやってと懇願されるが、本人のためにならないとユジンは断った。ミニョンは、内心ではサンヒョクのことを気に掛けているユジンを、無理やり車に乗せ、病院に向かった。悲惨なサンヒョクの状態を見たユジンは、サンヒョクを見捨てることができず、彼の元にとどまることを決意し、ミニョンに別れを告げた。
(エピソード)
- サンヒョクの最後の賭け
- ユジンを失うという危機的状況に立たされて、ついに心身症となり、放送局を辞め、食べることもできなくなり入院したサンヒョク。ベッドの傍に来たユジンに、僕はこの後一人でどうすればいいの? それともずっと一緒にいてくれるの? と嘆くサンヒョクの最後の賭けは、ユジンの母性に訴えることでした。ぎりぎりのところでされたサンヒョクの賭けは、おそらくは無意識的なものであったと思います。この賭けは結果的に功を奏することになるのだけど、サンヒョクは男を下げたな。
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- ミニョンの失敗
- ユジンは、サンヒョクが独力で立ち直れることを、子供の時からの付き合いで確信していて、辛いけど会わないでいるのが彼にとってベストであるとの判断をしていたのに、そんな深読みができないミニョンが同情心からユジンを病院に連れて行ったのは明らかに失敗でした。彼はユジンの自分への愛がゆるぎないものであると過信していて、ユジンの母性が彼を裏切ることになろうとは想像もしていなかったのでした。自分でも認めていたけど、ユジンとサンヒョクの10年間の実績を甘く見すぎていたのだろう。
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- ポラリス・ネックレス
- ユジンが山小屋キャンプで森に迷い込んだ時、チュンサンに言われたポラリスの話(第2話)を聞いたミニョンが、ユジンへの愛の証しとして、雪玉の中に忍ばせてプレゼントしたポラリス(北極星)をデザインしたネックレスで、定価54,600円です(税込み)。高い買い物だったかどうかは、今後の展開次第なのでした。
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- ユジンさん、ポラリスを見失わないで
- 僕はだいじょうぶだから
- 帰り道はかならず見つけてくださいね
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- 夜のスキー場、朝の別荘
- どちらも映像の美しいシーンとして印象に残っています。雪が舞い降る夜のスキー場で、街灯に照らされたベンチに坐るユジンとミニョン、その翌日、朝日の差し込む明るい別荘のリビングルームでの二人だけの朝食のシーン、それぞれ絵のように美しく、暗と明のコントラストも見事でした。第1話での音楽室のシーンもそうでしたが、光の使い方がとてもうまい。
(資料)
- ユジンの涙: 6回(累計22回)
- @ ママ、わたしサンヒョクを愛してないのよ
- A そんなの理由なんてないの
- B サンヒョク、だいじょうぶなの?
- C 先生、だいじょうぶですか?
- D 何してんのよ、ばかみたいなことして
- E 愛してます
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関連リンク集 |
- 関連DVD、音楽、本
- 式子内親王について
- 式子内親王(1153?−1201)は、後白河天皇の第3皇女として生まれ、新古今時代の代表的女流歌人として知られ、恋の歌を多く残しています。巻頭に掲げた歌は、小倉百人一首にも取り上げられている式子内親王の代表的な歌で、柴咲コウのアルバム「蜜」に収録されている「浮雲」の歌詞にも読み込まれていました。"玉の緒"は、命の意。"この命が絶えてしまうというなら、いっそそれでもいい。このまま生きながらえていたら、忍ぶ恋をおし隠す力が、弱まるかもしれないから"
- (参考資料)
- ・「式子内親王」/馬場あき子(ちくま学芸文庫 '92年初版)
- ・「式子内親王」/竹西寛子(講談社文芸文庫 '93年初版)
- ・「古歌逍遥」/尾崎左永子(NHK出版 '04年初版)
- ・「花にもの思う春」/白洲正子(平凡社ライブラリー '97年初版)
- ・日本の古典11「和泉式部・西行・定家他」(河出書房 '79年改装版)
- ・「式子内親王全歌集」/錦 仁編(桜楓社 '82年初版)
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第11話〜第20話へ
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